にかどくです。
今回は『ココロ・ファインダ』を読了したので、こちらの感想を書いていきます。
この作品は写真部に所属するカメラ好きの女子高生4人の物語です。
著者紹介
本作の著者は相沢沙呼さんです。
映画化された『小説の神様』の著者でもあります。
1983年埼玉県生まれ。
2009年、『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。
他の著書に、『ロートケプシェン、こっちにおいで』(酉乃初シリーズ)、『マツリカ・マジョルカ』『マツリカ・マハリタ』(マツリカシリーズ)、『卯月の雪のレター・レター』『雨の降る日は学校に行かない』などがある。
相沢沙呼著『ココロ・ファインダ』
(2014年/光文社/カバー袖より)
概要
高校の写真部に在籍する四人の少女、ミラ、カオリ、秋穂、シズ。
それぞれの目線=ファインダーで世界を覗く彼女たちには、心の奥に隠した悩みや葛藤があった。
相手のファインダーから自分はどう見えるの?
写真には本当の姿が写るの?
――繊細な思いに惑う彼女たちの前に、写真に纏わる四つの謎が現れる。
謎を解くことで成長する少女たちの青春を、瑞々しく描く。
相沢沙呼著『ココロ・ファインダ』
(2014年/光文社/裏表紙より)
主な登場人物
自分なりにさっくりと登場人物をまとめてみました。
・野崎鏡子(のざき きょうこ)
高校2年生。ミラやミラ子と呼ばれている写真部部員。
自分の名前を嫌っている。
クラスメイトの鳥越に恋をしている。
「コンプレックス・フィルタ」の主人公。
・秋穂(あきほ)
高校1年生の写真部部員。
高校に入ってから写真に興味を持ったため、写真の知識や腕は一番乏しい。
「ピンホール・キャッチ」の主人公。
・日比野香織(ひびの かおり)
高校2年生。カオリと呼ばれている写真部部員で、よくシズの写真のモデルをしている。
男子からはよく告白されているが、毎回断っている。
「ツインレンズ・パララックス」の主人公。
・天野しずく(あまの しずく)
高校2年生。シズと呼ばれている写真部部員。
協調性がないが、部長が認めるほどの写真の技術や知識を持っている。
感想(※ネタバレあり)
一番のめり込んだ話は、カオリが主人公の「ツインレンズ・パララックス」でしょうか。
高校生のカオリは冒頭で松下という男子に告白されていますが、ビンタしてその告白を断っています。
どうして告白を断ったのかをミラやクラスメイト達に聞かれますが、当の本人は何も語りません。
あるとき、カオリが中学生のときにいじめを受けていた映子の話をシズにし始めます。
その映子は校則をきっちりと守る真面目さんでした。
その真面目さが映子の周囲にいた人たちは気に入りませんでした。
面白半分で映子にラブレターを出して校舎裏に呼び出したり、修学旅行で映子だけを置き去りにしてグループ行動をしていたり……。
とにかく陰湿ないじめを映子は受けていたとカオリはシズに話します。
カオリはそのいじめにこそ加担していませんでしたが、何もできませんでした。
しかし、この映子の正体をシズは見抜きました。
映子という人物は実は存在しておらず、カオリが作り出した架空の人物でした。
でもカオリが中学生のときにはいじめは確かにあったのです。
そのいじめの対象が誰に向けられていたのかというと、カオリ本人でした。
松下の告白を断った理由はとてもシンプルで、彼はカオリをいじめていた人間の一人だったからです。
にも関わらず、彼はカオリに「ずっと好きだった」と告白したのでした。
助けてもくれなかった人間から今さら「好き」と言われても説得力がありませんし、カオリがビンタしたくなる気持ちも理解できるなと思いました。
高校に上がっても、カオリのクラスメイトの女子がハブかれていました。
シズが主人公の物語である「ペンタプリズム・コントラスト」で、カオリはその子と行動を共にしますが、それを目にしたカオリのクラスメイトの一部の女子は「株を上げたいだけ」とか「慈善活動だ」と嘲笑します。
善意を善意として素直に受け取れない人間は、性格が歪み過ぎていると思います。
でももしかしたらそういう人たちも善意を嘲笑されてしまった過去があるのかもしれません。
哀しい世の中ですね。
善意の輪が広がれば、きっと世間は優しくなれるのかもしれません。
最後に
今回は相沢沙呼さんの『ココロ・ファインダ』の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。
どの話も少しだけミステリが含まれていて面白かったです。
「ピンホール・キャッチ」の主人公である秋穂の悩みも共感できました。
むしろ秋穂の物語に共感できる人の方が多いのではないかなと思います。
ちなみに、本作は日向坂46とコラボレーションした「日向坂文庫2021 冬の書店デート」フェアの1冊として選ばれています。
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ちなみに本作は河田陽菜さんがスペシャルカバーを担当しています。
以上、相沢沙呼さんの『ココロ・ファインダ』の感想記事でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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