にかどくログ

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事件現場に残されたアイテムの謎 ~麻見和史著『蟻の階段 警視庁殺人分析班』読了~

にかどくです。

今回は『蟻の階段 警視庁殺人分析班』を読了したので、こちらの感想記事を書いていきます。

蟻の階段 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は麻見和史さんです。

著者の詳細につきましては、下記の記事で書きましたので省略させていただきます。

nika-landmark.hatenablog.com

 

概要

頭蓋骨に白い花、掛け時計にスープ皿

――テーブルの上の惨殺遺体を囲むように置かれた謎めいた品々。

絵画を模したような現場を作り、さらに「過去の亡霊」を名乗って警察OBの自宅に電話をかけてきた犯人。自らの存在をアピールしたいのか。

如月塔子ら殺人分析班が鋭い推理で明かす、歪んだホシの正体とは。

 

麻見和史著『蟻の階段 警視庁殺人分析班』

(2013年/講談社/裏表紙より)

 

主な登場人物

・如月塔子(きさらぎ とうこ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長で、26歳。

低身長で童顔であることから、職場では子ども扱いされる。

物事に根を詰めてしまうタイプで、危なっかしい場面がある。

 

・鷹野秀昭(たかの ひであき)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の警部補で主任。32歳。

塔子の教育係でもある。

100円ショップのアイデア商品の収集が趣味。

常にデジカメを持っており、現場や珍しいものを写真に収める記録魔。

 

・早瀬泰之(はやせ やすゆき)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の係長。46歳。

捜査1課長の神谷と管理官の手代木と共に捜査指揮を行う。

胃薬を飲んでいる。

 

・門脇仁志(かどわき ひとし)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の警部補で主任。37歳。

行動力には定評があるが、ときに強引な捜査を進めることがあることから、「ラッセル車」というあだ名がついている。捜査方針を巡って、手代木管理官としばしば衝突する。テレビ番組を調べるのが趣味。

 

・徳重英次(とくしげ えいじ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長。53歳。

温厚な性格で且つ腹部がポッコリ出ているため、七福神の布袋さんのように見える。

インターネットの掲示板にアクセスすることが趣味。

 

・尾留川圭介(びるがわ けいすけ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長。30歳。

お話し好きでお調子者。ホームステイをしたことがあるというだけで、帰国子女を自称している。

容姿が良いため女性警察官からは人気がある。

 

・神谷太一(かみや たいち)

警視庁刑事部捜査1課長。かつて如月塔子の父である如月功(きさらぎ いさお)とはコンビを組んで事件の捜査をしていた。

 

・手代木行雄(てしろぎ ゆきお)

警視庁刑事部捜査1課の管理官。細かいことを気にする性格で、門脇とは捜査方針で衝突している。

 

・加賀見隆二(かがみ りゅうじ)

元警視庁刑事部捜査1課の刑事。67歳。

「過去の亡霊」なる犯人から荒川事件や現在起きている殺人事件を調べるように指示される。

 

・佐山高則(さやま たかのり)

47歳の会社員。競馬などのギャンブルを好む。

第1の殺人事件の被害者。

 

・船岡令二(ふなおか れいじ)

44歳の医者。

先代が外科医院として開業したが、一時閉鎖後内科を柱として再度開業した。

第2の殺人事件の被害者。別宅を持っている。

 

・矢崎信一(やざき しんいち)

22年前の資産家が殺された事件(荒川事件)で逮捕され、無期懲役を言い渡され服役していた。半年前に仮出所し物流会社に就職したものの、行方不明となっている。

 

・堀芳郎(ほり よしろう)

22年前の荒川事件の被害者。自営業と称していたが、実際には親の資産を運用して生活していた。拝金主義のため、友人からの評判は良くなかった。享年31歳。

 

・利根文彰(とね ふみあき)

経営コンサルタント。佐山、船岡が殺害されたことにより、自身が第3の殺人事件の被害者になると思い、身を隠す。

 

・川久保晶(かわくぼ あきら)

24歳の元会社員。自身も絵を描いていたが人気の出るタイプではなかったが、その代わり鑑定眼があった。不慮の事故により死亡している。

 

感想(※ネタバレ含みます。)

今回も前作に引き続きスリードをさせられる作品でした。

 

事件現場に残されたアイテムが何を示しているか推理しても、この事件の真相に辿り着くことができません。

作中の捜査1課は事件現場に残されたアイテムが「ヴァニタス画」を意味していると読んで捜査を始めてますが、完全なミスリードでした。

ちなみに「ヴァニタス画」とは、16世紀から17世紀にかけてのヨーロッパ北部で特に多く描かれた静物画で人生の空しさを表す絵画のジャンルの1つだそうです。

(ヴァニタス画についての詳細は下記のWikipediaを参照してください。)

ja.wikipedia.org

 

しかしこれは犯人がミスリードさせるために揃えたものではありません。

犯人自身もミスリードさせられていたのです。ここが本作の面白い部分の一つです。

警察を犯人がミスリードするというのはよくある話ですが、犯人自身もミスリードさせられているというのはとても珍しくて、新鮮さがありました。

 

実は事件現場に残されたアイテムの配置には元となる絵がありましたが、絵画の知識を持っている犯人が勝手に「ヴァニタス画」だと解釈してしまったがために、捜査1課の面々も犯人に繋がる手掛かりは「ヴァニタス画」にあると判断してしまったようです。

元となる絵には別の意味が隠されていたのですが、どんな意味があるのかは本作を読んで確かめてみて欲しいです!

 

そして犯人がなぜ元警視庁捜査1課の刑事である加賀見を事件に巻き込んだのかも気になりました。

読み始めたときは、荒川事件の取り調べを行ったのが加賀見であることから、お礼参り(要するに仕返し)をするために巻き込んだのかと思っていました。

これは最後の最後で明かされていますが、犯人の第3の復讐相手である利根の情報を手に入れるためでした。

プライドの高い加賀見を挑発すれば、昔の同僚の伝手で特捜本部に集まっている情報を手に入れるだろうという計算を犯人はしていたようです。

つまり、加賀見は犯人の意図したとおりに動いてしまっていたんです。

ただ問題は加賀見が得た情報を犯人がどうやって入手するかですが、これはいたってシンプルな方法でした。

当人に知られずに情報を入手する方法と言えば……と書けば何となくわかりそうですね。

そしてこのシンプルな方法を使うとなると、犯人がどこにいるかも明らかになるのです。 

 

塔子たちよりも先に真実に辿り着けたら、快感だろうなと思える作品でした!

 

 

最後に

今回は麻見和史さんの『蟻の階段 警視庁殺人分析班』の感想記事を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。

 

この「警視庁殺人分析班」シリーズはWOWOWにて木村文乃さんが主演でドラマ化されています。

第1弾は『石の繭』、第2弾は『水晶の鼓動』、第3弾は『蝶の力学』となっています。

 

ドラマ化第1弾『石の繭』☟

連続ドラマW 石の繭 殺人分析班 [DVD]

 

ドラマ化第2弾『水晶の鼓動』☟

連続ドラマW  水晶の鼓動 殺人分析班 [DVD]

 

ドラマ化第3弾『蝶の力学』☟

連続ドラマW 蝶の力学 殺人分析班 DVD-BOX

 

ちなみに『水晶の鼓動』は小説では3作目にあたりますので、近いうちに小説を入手して感想記事をUPする予定です。

『蝶の力学』は小説では7作目にあたりますので、こちらは来年に感想記事をUPすることになると思います。

 

いずれにしても、「警視庁殺人分析班」シリーズは今後も読み続けて行こうと思っています。

 

以上、麻見和史さんの『蟻の階段 警視庁殺人分析班』の感想記事でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

蟻の階段 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

蟻の階段 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

  • 作者:麻見 和史
  • 発売日: 2013/10/16
  • メディア: 文庫
 

 

『石の繭 警視庁殺人分析班』の感想記事はコチラです☟

nika-landmark.hatenablog.com

 

『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』の感想記事はコチラ☟

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『虚空の糸 警視庁殺人分析班』の感想記事はコチラ☟

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『聖者の凶数 警視庁殺人分析班』の感想記事はコチラ☟

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『女神の骨格 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

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『蝶の力学 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

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