にかどくログ

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怨恨による殺人? それとも猟奇殺人? ~麻見和史著『蝶の力学 警視庁殺人分析班』読了~

にかどくです。

 

今回は、『蝶の力学 警視庁殺人分析班』を読了したので、こちらの感想を書いていきます。

このブログでおなじみの「警視庁殺人分析班」シリーズの第7弾です。

 

蝶の力学 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は麻見和史(あさみ かずし)さんです。

1965年、千葉県生まれ。

2006年『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。

ドラマ化され人気を博した「警視庁殺人分析班」シリーズに『石の繭』『蟻の階段』『水晶の鼓動』『虚空の糸』『聖者の凶数』『女神の骨格』『蝶の力学』(本書)『雨色の仔羊』『奈落の偶像』『鷹の砦』『凪の残響』、「警視庁文書捜査官」シリーズに『警視庁文書捜査官』『永久囚人』『緋色のシグナル』『灰の轍』がある。

その他の著作に『水葬の迷宮 警視庁特捜7』『死者の盟約 警視庁特捜7』『深紅の断片 警防課救命チーム』など。

引用元:麻見和史著『蝶の力学 警視庁殺人分析班』(2017年/講談社/著者紹介)

 

あらすじ

惨殺された若き資産家の喉には可憐な花が活けられ、その妻は行方をくらました。

新聞社には「警察とのゲーム」を仄めかす挑発的なメールが届き、殺人分析班の如月塔子ら警察は怨恨の線で動き出す。

しかし犯人の魔の手は警察にも及び、ついに――。

猟奇的な劇場型犯罪を緻密な推理で追い詰める人気シリーズ七作目。

引用元:麻見和史著『蝶の力学 警視庁殺人分析班』(2017年/講談社/裏表紙)

 

登場人物

・如月塔子(きさらぎ とうこ)

警視庁刑事部 捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長で、27歳。

低身長で童顔であることから、職場では子ども扱いされる。

物事に根を詰めてしまうタイプで、危なっかしい場面がある。

今回は尾留川と途中でペアを組み、犯人を追い詰めていく。

 

・鷹野秀昭(たかの ひであき)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の警部補で主任。32歳。

塔子の教育係でもある。

100円ショップのアイデア商品の収集が趣味。

常にデジカメを持っており、現場や珍しいものを写真に収める記録魔。

 

・早瀬泰之(はやせ やすゆき)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の係長。46歳。

捜査1課長の神谷と管理官の手代木と共に捜査指揮を行う。

胃薬を飲んでいる。

 

・門脇仁志(かどわき ひとし)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の警部補で主任。37歳。

行動力には定評があるが、ときに強引な捜査を進めることがあることから、「ラッセル車」というあだ名がついている。捜査方針を巡って、手代木管理官としばしば衝突する。テレビ番組を調べるのが趣味。

 

・徳重英次(とくしげ えいじ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長。53歳。

温厚な性格で且つ腹部がポッコリ出ているため、七福神の布袋さんのように見える。

インターネットの掲示板にアクセスすることが趣味。

 

・尾留川圭介(びるがわ けいすけ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長。30歳。

お話し好きでお調子者。ホームステイをしたことがあるというだけで、帰国子女を自称している。

容姿が良いため女性警察官からは人気がある。

途中で如月とペアを組み、犯人を追い詰めていく。

 

・神谷太一(かみや たいち)

警視庁刑事部捜査1課長。かつて如月塔子の父である如月功(きさらぎ いさお)とはコンビを組んで事件の捜査をしていた。

 

・手代木行雄(てしろぎ ゆきお)

警視庁刑事部捜査1課の管理官。細かいことを気にする性格で、門脇とは捜査方針で衝突している。

 

・天野秀雄(あまの ひでお)

不動産会社の若き社長。

自宅にて喉にブルーデージーを4本挿された状態で死亡していた。

 

・天野真弓(あまの まゆみ)

天野秀雄の妻。

夫の秀雄が殺害された際、犯人によって連れ去られたが、のちに公園のボートで喉にローズマリーを4本挿された状態で死亡していた。

 

・須藤辰則(すどう たつのり)

天野秀雄の大学時代の後輩で、ワインバー経営者。

自身のワインバーで喉に忘れな草を4本挿された状態で死亡していた。

 

・坂口隆(さかぐち たかし)

セールスエンジニア。

科学技術館の旧事務棟にある冷凍庫内で服毒して死亡していた。

スーツの胸ポケットにはスターチスが挿さっていた。

 

・永瀬芙美子(ながせ ふみこ)

天野真弓の母。

30年前にアパート経営を始めたが、家賃収入がほとんどないため、生活が苦しくなっている。

 

・永瀬詩織(ながせ しおり)

天野真弓の妹で、食品メーカーの契約社員

 

・内田(うちだ)

工務店経営者。

永瀬芙美子が経営しているナガセハイツの内装工事をしている。

 

・森久保牧夫(もりくぼ まきお)

看護師。

天野真弓が看護師をしていたときの同僚。

 

・伏見正晴(ふしみ まさはる)

美術商。

須藤のワインバーの常連で、天野秀雄とは面識があった。

鷹野が聞き込みをする際に、見返りとして食事を出すことを要求した。

 

感想(※ネタバレ含む)

今回の事件はちょっとばかし複雑なような気がしました。

(もしかしたら毎回複雑と言っているかもしれませんが……。)

 

まず第一の謎は、どうして遺体の喉に青い花ブルーデージーローズマリー忘れな草)が挿してあったのか、です。

これだけ見ると猟奇殺人の感じがしますが、でも細かく見てみると傷口をこじ開けるような跡があったことから、怨恨による殺人にも見えます。

第二の謎は、どうして犯人は天野真弓を連れ去り、犯行予告と共に彼女の写真を新聞社に送ったのか、です。

普通なら奥さんも口封じをするはずなのですが、今回の犯人は金銭的な要求をするわけではなく、ただ彼女が生きていることを暗示するだけに留めていました。

 

しかし、この謎は塔子たちの捜査によって徐々に解き明かされていきます。

真相についてはここでは伏せておきます。

が、今回重要なのは保険の知識です。

保険のある知識を知っていることでこの謎は自力で解き明かすことができるのかもしれません。

僕は今回も自力で答えを導き出すのができませんでした。

 

そして今回の最大の見所は、塔子の相棒が途中で鷹野から尾留川に交代することです。

その鷹野は暴漢から塔子を守るために負傷して入院してしまったため、今回の捜査は途中から鷹野のサポートなしで進行します。

要するに、塔子の刑事としての成長を見られます。

やっぱり作品を追うごとにどんどん塔子が刑事として頼もしくなっています。

最後の方では鷹野に筋読みを披露して79点という高評価をもらっていました。

でも鷹野はこの点数で合格点を上げていないあたり、より正確な筋読みをしないといけないんだなと思いました。

誤認逮捕なんてしてしまったら、その人の人生をぶち壊すことになってしまいますからね。

 

それから今まで鷹野のことについては語られることが少なかったのですが、どうして塔子に職質をかけさせようとしないのかが判明します。

詳細は省きますが、鷹野が主役の新シリーズが始まっているようなので、「警視庁殺人分析班」シリーズが読み終わってから手を付けたいなと思っています。

 

最後に

今回は麻見和史さんの『蝶の力学 警視庁殺人分析班』の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。

尾留川や塔子が掴んだヒントを下に自分なりに犯人を予想したのですが、鷹野の推理によってひっくり返されてしまいました。

犯人が判明したとき「まさか、あなたが犯人だったとは……」と呟いてしまいました。

あまりにも自然に登場してきていたので、まったく疑っていませんでした。

フィクションではあるけれども、警察の捜査力って凄いなと改めて思いました。

 

『蝶の力学』はドラマ化されているので、小説を読む時間が無いという方は、こちらを視聴して作品を味わってみるのも良いと思います。

僕もいずれ視聴しようと思います。

 

連続ドラマW 蝶の力学 殺人分析班 DVD-BOX

 

以上、麻見和史さんの『蝶の力学 警視庁殺人分析班』の感想でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

☆宜しければ、記事に対する感想をコメントしていただけると嬉しいです☆

 

 

読了済みの「警視庁殺人分析班」シリーズの感想記事は以下のリンクでご覧ください!

 

『石の繭 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

nika-landmark.hatenablog.com

 

『蟻の階段 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

nika-landmark.hatenablog.com

 

『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

nika-landmark.hatenablog.com

 

『虚空の糸 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

nika-landmark.hatenablog.com

 

『聖者の凶数 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

nika-landmark.hatenablog.com

 

『女神の骨格 警視庁殺人分析班』の感想記事☟

nika-landmark.hatenablog.com

 

僕のプロフィールについての記事☟

nika-landmark.hatenablog.com