にかどくログ

読書をこよなく愛する平凡なサラリーマン。

【岩井俊二/ラストレター】読了!

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今回は岩井俊二さんの『ラストレター』を読了したので、

その感想を自由気ままに書いていきたいと思います!

 

さて本作の著者は岩井俊二さんです。

映画監督や小説家、作曲家など多彩なジャンルでご活躍されている方です。

『ラストレター』の他にも

『ウォーレンスの人魚』や『番犬は庭を守る』、

リップヴァンウィンクルの花嫁』という小説を書かれています。

 

 

なぜ、僕がこの本を手に取ったかと言いますと、

単純に映画化されていて気になったからです。

僕は、映画化されているものの原作を読んでみたいと

思うような人間なので、

映画鑑賞前後に原作を読むようにしています。

 

 

本作を読んで思ったことは、

人生何が起きるかわからないということ、

人が亡くなるのは誰からも忘れ去られてしまうときだと

思いました。

 

ストーリーとしては、

亡くなった姉の美咲に代わって同窓会に出た

妹の裕里が、初恋相手で小説家の乙坂鏡史郎と再会して、

姉のフリをして乙坂鏡史郎と文通を始めるというものです。

 

 

スマホが普及している今、

なぜわざわざ文通をしているのか。

 

 

それは同窓会の後に鏡史郎が姉のフリをしている裕里に送った一言が原因。

そしてそれを偶然にも裕里の夫である宗二郎が見てしまい、

スマホを洗濯機に入れられてしまい、

スマホが使用不能になったことから、

裕里は一方的に手紙を鏡史郎に送ります。

 

 

 

 

裕里が浮気をしていると疑っている宗二郎の行動は

さらにエスカレート。

裕里のスマホをマンションから投げ捨てたり、

大型犬2匹を急に家に連れてきたりしてきます。

連れてきた張本人なのに犬の世話をしないという鬼っぷり。

きっと自分の支配下(?)に奥さんがいてくれないと

気が済まない人なのだろうなと思いました。

 

 

 

ただ、この宗二郎の行動は

物語を進行させるためには不可欠なものでした。

 

もしスマホを使用不能にしなければ、

裕里は鏡史郎に手紙を送ることもなかったし、

鏡史郎が出した手紙を裕里や美咲の娘が読むこともありませんでした。

さらに、犬を飼わなければ美咲と裕里の娘は鏡史郎と

出会うこともありませんでした。

それも、

鏡史郎・美咲・裕里が甘酸っぱい青春時代を過ごした、

廃墟と化している母校の中学校で。

 

 

偶然が次々に重なって描かれた物語。

とても素敵だなと思いました。

 

そして、この世から去ってしまった人は

心の中で生き続けていると思いました。

鏡史郎はずっと美咲のことを考えていたわけだし、

裕里も想い出をたくさん持っている。

本当にその人が本当に亡くなってしまうのは、

忘れ去られてしまうときだと思いました。

 

 

映像としても観てみたい、

そんな作品でした!

 

 

ラストレター (文春文庫)

ラストレター (文春文庫)

 

 

 

ラストレター

ラストレター