にかどくログ

読書をこよなく愛する平凡なサラリーマン。

【神谷和宏/ウルトラマン「正義の哲学」】読了!

今回は、

ウルトラマン「正義の哲学」』という本を

読了したので、

こちらの感想を書いていきたいと思います!

 

ウルトラマン 「正義の哲学」 (朝日文庫)

 

この本の著者は、神谷和宏さんです。

駒澤大学文学部国文学科を卒業されており、

国語教師としてご活躍されているそうです。

怪獣や異形がどのようなイメージとして表現されているのかを

考察する「怪獣表象論」を研究されているそうです。

 

 

 

僕はウルトラマンが大好きで、

いまでもウルトラマンを観ることがあります。

ウルトラマンティガ』、『ウルトラマンダイナ』、

ウルトラマンガイア』、『ウルトラマンコスモス』、

ウルトラマンマックス』、『ウルトラマンメビウス』、

ウルトラマンGEED』、『ウルトラマンタイガ』は

リアルタイムで観てました。

小学生になろうが、中学生になろうが、

観ていました。

昭和の『ウルトラマン』シリーズも

全作品ではないですが、ケーブルテレビで観ました。

 

 

ただ、子どもの時と大人の時とでは、

ウルトラマンを観るときの視点が全然

違っていることに気付きました。

子どもの時は、ウルトラマンが怪獣や侵略者を

倒すという部分に着目していました。

ところが、大人になると、

ウルトラマンが怪獣や侵略者を倒すまでの

経緯に着目するようになりました。

そうすると、

怪獣や侵略者が100%悪で、

人間やウルトラマンが100%正義とは断定できない

ということに気付きました。

 

この本を読むと、なぜそのような構図に

なってしまうのかが理解できます。

 

例えば、

帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」。

地球探査の目的でやってきた宇宙人(人間体)を

暴徒化した人間が襲うというものでした。

最後の最後には暴徒化した中にいた

一人の警察官が宇宙人(人間体)に向けて銃を発砲し、

殺害してしまいます。

それを契機に怪獣が出現しますが、

人々は「怪獣を退治してくれ!」と喚きます。

ウルトラマンは何だかんだで怪獣を退治して、

終わります。

 

これはケーブルテレビで観たのですが、

人間の身勝手さがかなり滲み出ています。

 

自分とは違うから

普通ではないから。

とにかく怖いから。

 

そういう理由だけで、

この宇宙人を排除しているように思いました。

劇中の彼らがそう思ってしまうのは、

宇宙人と理解し合うという作業をしなかったから。

 

この作業をしなければ、

相手の真意なんてわからないと思います。

でも、劇中の彼らは問答無用で

排除してしまいました。

そして、排除したらしたで、

今度はウルトラマンや防衛隊に頼りっぱなし。

 

改めて観ると、

人間の身勝手さが露呈しています。

 

自分とは違う者を差別し、

それを多数で排除するという行為

筆者の言う通り正義であるはずがないと思いました。

 

それと同時に、

排除し合うのではなく、

お互いを理解し認め合うことが

本当の正義なのではないかとも思いました。

正義って難しいです。

 

 

 

この本には、

ウルトラマン』シリーズを通して

先人たちの想いを知ることができる良書だと思います。

また、作品の内容説明も詳細にされているので、

ウルトラマン』シリーズを一度も観たことがなくても、

読めるようになっています。

 

 

ウルトラマン』シリーズをただの『特撮』と捉えず、

各作品の背景にはどんな意図が隠されているのかを

考えてみたい方にお薦めできる本です!

ウルトラマン 「正義の哲学」 (朝日文庫)

ウルトラマン 「正義の哲学」 (朝日文庫)

  • 作者:神谷和宏
  • 発売日: 2015/03/09
  • メディア: 文庫