にかどくログ

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心霊スポットに面白半分で行くのはやめましょう。 〜加門七海著『祝山』読了〜

にかどくです。

 

今回は『祝山』という小説を読了したので、こちらの感想を書いていきます。

 

祝山(いわいやま) (光文社文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は加門七海さんです。

東京都生まれ。伝奇小説、フィールドワーク作品を中心に活躍。

著書に『美しい家』『オワスレモノ』『真理MARI』『203号室』(以上、光文社文庫)、『怪談徒然草』(角川ホラー文庫)、『大江戸魔法陣』(河出文庫)、『うわさの人物 神霊と生きる人々』(集英社)、『女切り』(ハルキ・ホラー文庫)など多数。

引用元:加門七海著『祝山』(2007年/光文社/カバー袖より)

 

概要

ホラー作家・鹿角南のもとに、旧友からメールが届く。

ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙な事が続いているのだというのだ。

ネタが拾えれば、と軽い思いで肝試しのメンバーに会った鹿角。

それが彼女自身をも巻き込む戦慄の日々の始まりだった。

一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆく――。

著者の実体験を下敷きにした究極のリアルホラー!

引用元:加門七海著『祝山』(2007年/光文社/裏表紙より)

 

登場人物

・鹿角南(かづの みなみ)

怪談やホラー、オカルトをテーマに物語を書いている作家。

肝試しに行く者を馬鹿だと嫌悪している。

肝試しに行った矢口たちの話を聞いたおかげで、自身にも災いが降り注ぎ、災いを除去するために矢口たちが行った心霊スポットについて調べ始めた。

 

・矢口朝子(やぐち あさこ)

元・女性誌のライターで、現在は食料品店『ガイア・バザール』に勤めている。

鹿角とは休みが合わないこともあり付き合いは間遠になっていたが、肝試しに行ったことで奇妙なことが起き始めていたため、鹿角に久々に連絡をした。

肝試し後、異常にテンションが高い日々が続き、勤務中にも関わらず飲酒をしたりと異常行動を繰り返していた。

 

・田崎正人(たざき まさと)

食料品店『ガイア・バザール』の雇われ店長

ネット掲示板で話題になっていた心霊スポットにゴールデン・ウィーク明けに矢口、小野寺、若尾と一緒に肝試しに行き、奇妙な体験をした。

肝試し後、腕が黒く腫れ上がった。

 

・小野寺淳(おのでら じゅん)

食料品店『ガイア・バザール』のアルバイト。

写真を撮るのが趣味で、本物の心霊写真を撮ってみたいという理由でネット掲示板で話題になっていた心霊スポットに肝試しに行く。現地で心霊写真を撮るが、写真を撮り込んだパソコンが壊われた。

肝試しに行ったその日に、心霊スポット付近にある神社で『大祓』を暗唱するが、境内に唾を吐き捨てた。

 

・若尾木綿子(わかお ゆうこ)

カレー専門店『スワミ』のアルバイト。

矢口からの誘いを断り切れず、乗り気ではないものの肝試しに行く。

肝試し後に思い出せない怖い夢を見るようになった。

和歌山の旧家出身で、幼いころから神社などの場所は大切にしろと言われてきていた。

 

・芳村里美(よしむら さとみ)

怪談やホラー、オカルトをテーマにしているイラストレーター。

図書館で矢口、田崎、小野寺、若尾が肝試しに行った土地の資料を偶然にも見つけた。

鹿角の小説の題材になればと思いその資料のコピーを鹿角に渡した。

 

感想(※ネタバレ含む)

心霊スポットに面白半分で行くとどうなるかを体験できる作品でしたが、恐ろしかったです。

 

矢口、田崎、小野寺、若尾が肝試しに行った心霊スポットとは、「祝山」という山にあることが判明します。

そして、その祝山の近くにある神社は「山神社」と判明したことから、「山神社」は祝山を御神体とする神聖な場所だったのではないかと仮説を立てました。

心霊スポットなっている場所は元々製材所であり、その材木をどこから調達していたのかと考えたところ、山神社の御神体である祝山からだったのではないかと鹿角は推測しました。

製材所に関わった人たちに不幸が訪れたのも、それが原因だったのではないかという推測はとても説得力がありました。

面白半分で行った4人に異常が起きるのも当然と言えば、当然です。

(乗り気ではなかった若尾は可哀そうですが。)

 

しかし、この仮説は里美からもたらされた資料によって一気にひっくり返ります。

というのも、祝山には別名がありました。

その別名というのが「位牌山(いはいやま)」「忌山(いみやま)」「入ラズ山」というものでした。

不吉なことが生じるため、所有を嫌う山という意味があるようです。

もちろん神聖な地であることから俗人が手をつけてはならない山という意味もあるそうです。

しかし、製材所に関係した人たちに不幸が立て続けに起きたのを鑑みると、位牌山の意味は明らかに前者だということがわかります。

ネット掲示板で話題になっていたからと言って何も知らないまま、面白半分でその土地に行くのはとても危険だということがわかります。

 

そしてこの小説の恐ろしい部分は、祝山に行っていない鹿角にも異常が起きるということです。

携帯電話の接触不良が起きたり、フローリングの上を歩いているのに泥水の上を歩いているような感覚になったり、原因不明の腹痛に襲われたり……。

話を聞いたり、製材所や山神社で撮った写真を見ただけでこんなにも影響を受けるとは、本当に恐ろしいです。

もっと恐ろしいのは、矢口、田崎、小野寺に異常が起きているという自覚がないということです。

田崎に関しては腕が黒く腫れているという身体的な異常は起きているのですが、それを祝山と関連付けて考えていないようです。

そればかりか、恐ろしいと思っているにも関わらず若尾や鹿角を除いたメンバーが祝山に再度行きたがるのです。

たぶん、これは祝山の何かに取り憑かれているのだろうなと思います。

小野寺が写真を何の許可もなく送ってくるのも恐ろしいし、矢口が読み進めていくうちにどんどん異常になっていくのも恐ろしいです。

個人的に一番の恐怖は、4人が訪れた山神社の外観が鹿角と来たときと変わっているということです。

4人が訪れた際は石段の上に社殿があり、石段をずっと登って行ってお参りしたそうですが、鹿角と来たときは石段が途中で崩れており、社殿もなかったのです。

 

一体彼らは何にお参りしたのでしょうか……。

 

幽霊が出る作品ではないですが、情景描写や効果音でジワジワと心理的に追い詰めてくるので、鳥肌が立ちました。

 

最後に

今回は加門七海さんの『祝山』の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。

本作は、面白半分で心霊スポットに行くとどんな災いが起きてしまうのかを体験できる作品だと思います。

本作のようにその土地に行っていない人間にも災いが起きてしまう可能性があるということを知ると、なおさら心霊スポットで肝試しをするのは危険だと思いました。

 

幽霊が出てこないホラー小説を読みたいという方に、オススメできる作品でした。

 

以上、加門七海さんの『祝山』の感想記事でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

☆宜しければ、記事に対する感想をコメントしていただけると嬉しいです☆

 

祝山(いわいやま) (光文社文庫)

祝山(いわいやま) (光文社文庫)

 

 

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