今週のお題「読書の秋」
にかどくです。
今回は『論理的思考を鍛える33の思考実験』を読了したので、こちらの感想を書いていきます。
著者紹介
本書の著者は北村良子(きたむら りょうこ)さんです。
1978年生まれ。
有限会社イーソフィア代表。
パズル作家としてWEBで展開するイベントや、企業のキャンペーン、書籍や雑誌等に向けたパズルを作成している。
著書は『パズル作家が明かす脳にいいパズルはどっち?』(コスモ 21)、『おうちで楽しく!でんしゃの学習ブック7さいまでのひらがな・カタカナ・数字の練習』(メイツ出版)他。
運営サイトはIQ脳.net(http://iqno.net/)、老年若脳(http://magald.com)等。
引用元:北村良子著『論理的思考を鍛える33の思考実験』(2018年/彩図社/著者略歴)
感想
本書では様々な思考実験が紹介されています。
有名な思考実験の一つとしてトロッコ問題があります。
暴走しているトロッコの行く先には5人の作業員がおり、彼らはトロッコに全く気付いていません。
線路の切り替えスイッチのそばにいるあなたは、スイッチを切り替えれば5人の命を救うことができます。
しかし切り替える線路の先には1人の作業員がおり、スイッチを切り替えればその人が死んでしまいます。
あなたと作業員6人は何の面識もありませんし、6人とも何の罪もありません。
この場合、あなたはスイッチを切り替えますか?
それともそのままにしますか?
これが有名なトロッコ問題なのですが、一般的には5人の命を助けると回答する人が多いそうです。
僕も一般的な回答と同じで5人を助けるという回答に至りました。
答えの過程は至ってシンプルで、6人とも面識がないため特に思い入れが無く、多くの人を助けるためにはスイッチを切り替える必要があると思ったからです。
まあ、こんな場面には絶対に出くわしたくはないですね。
では5人を犠牲にして1人を助けるという回答をした人はどんなことを考えているのかというと、トロッコはもともと5人に向かって走っていたのだから、5人は犠牲になる運命だったと考えるそうです。
そしてスイッチを切り替えることで1人の人間を自ら殺すことになってしまうとも考えるため、スイッチを切り替えることに強い抵抗感を示すそうです。
では、こんな状況下ではどうでしょう。
あなたは線路上の橋の上にいます。
橋の下には線路の上をトロッコが暴走しており、トロッコの行き先には作業員が5人います。このままでは作業員5人が犠牲になってしまいます。
そこであなたは何かできないかと周りを見渡すと、橋の上にもう一人男性がいることに気づきました。
その男性はかなり太っており、見るからに重そうな大きなリュックを背負っています。
彼を突き落とすことができたらトロッコを止めることができますが、5人の命を救う代わりに、彼が死ぬことになります。
なお、彼は作業員5人が行っている作業が気になっているらしく、大きく身を乗り出して夢中になっており、彼もトロッコには気が付いていません。
今なら確実に線路上に彼を突き落とすことができます。
この場合、あなたは太った男を突き落としますか?
それともそのままにしますか?
最初のトロッコ問題と犠牲になる人数は変わっていないのに、この問題ではなんと多数派と少数派が入れ替わります。
この問題の場合はそのままにする(=5人を犠牲にする)という回答が多数派となり、太った男を突き落とす(=1人を犠牲にする)という回答が少数派になるのです。
ちなみに僕もこの問題の場合は、そのままにするという回答に至りました。
どうして多数派と少数派が入れ替わったのかというと、今回の問題では太った男を突き落とすという行為が、前のトロッコ問題よりも積極的に殺人に関わることになってしまうため、抵抗感が生まれてしまうそうです。
同じような問題なのに条件が一つ変わるだけで、考え方が一気に変わってしまうのが本当に面白いです。
もしこの太った男が落ちかけそうになった場合はそのままにするのか、それとも男を助けるか、という問題になるとこれまた多数派と少数派が入れ替わります。
他にも「テセウスの船」や「ありえない数式」などといった有名な思考実験が紹介されています。
「ありえない数式」は中学・高校で平然と使っていた数式が登場してきますが、その数式を深堀していくとおかしなことが起きてしまうのです。
これには驚いてしまいました。
中学・高校では答えを出すことに集中しすぎていて、本質を見抜くことができていなかったんだろうなと今更ながら思いました。
この本を読むだけでは論理的思考を完全に身に付けることはできませんが、普段から物事を冷静に分析・整理して自分なりの考えを持って生きていかなければならないなと思いました。
最後に
今回は北村良子さんの『論理的思考を鍛える33の思考実験』の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。
物事の見方が変わることで答えがまるっきり変わってしまうのは本当に面白いです。
本書では確率の問題といった数学的なものも取り扱っていますが、数学が苦手な人でも理解しやすい内容となっています。
(分かりづらいところも多少はありますが……)
思考実験について気になった方は本書を読んでみてはいかがでしょうか。
以上、北村良子さんの『論理的思考を鍛える33の思考実験』の感想でした。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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