にかどくログ

読書をこよなく愛する平凡なサラリーマン。

【長江俊和/出版禁止】読了!

今回は『出版禁止』という小説を読み終えたので、

こちらの感想を書いていきたいと思います!

ちなみに本作は2回目の読了となります。

 

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本作の著者は映像作家の長江俊和さんという方です。

深夜番組『放送禁止』シリーズを手掛けた方で、

私は本作に出会ってから『放送禁止』を観たのですが、

現実にありそうな設定が妙に怖かったという印象を持っています。

(ちなみにとても印象に残ったのは、「恐怖の隣人トラブル」という回です。)

 

他の著書に、『ゴーストシステム』(角川書店)、

      『放送禁止』(角川書店)、

      『掲載禁止』(新潮社)、

      『東京二十三区女』(幻冬舎)

              などがあります。

 

本作のジャンルはミステリと言った方が良いのでしょうか。

定義が難しいと僕は感じていますが、

モキュメンタリー映像をそのままノベライズしたような感じです。

 (『出版禁止』という映像作品はありません。)

 

『放送禁止』も『出版禁止』もドキュメンタリー風に

描かれているので、

本当に現実にありそうだと錯覚してしまいます。

 

ちなみに、

小説となっている『放送禁止』は

深夜番組として放送していたものの

一部をノベライズ化しているようです。

 

 

 

さて、『出版禁止』の話に戻りますが、

いつものごとく、自分で登場人物たちを整理してみました。

 

 

・若橋呉成

フリーランスのジャーナリスト。

出版禁止となってしまった「カミュの刺客」の著者。

 

・新藤七緒

若橋が追っている心中事件の当事者で、

心中の後遺症に苦しむ女性。熊切の秘書であり、不倫相手。

 

・熊切敏

若橋が追っている心中事件の当事者で故人。

有名なドキュメンタリー作家。

 

・永津佐和子

熊切敏の妻であり、有名な女優。

 

・山下

心中事件の時に捜査の指揮を執った元警察官。

 

・森角

熊切が経営していた会社の元社員。

 

・神湯堯

政財界を陰で牛耳っていると言われている大物政治家。

 

・高橋

神湯堯を信奉する政治結社の代表。

 

 

 

 

物語としては、

出版禁止となってしまった「カミュの刺客」という記事

本作の著者である長江さんが入手して、

記事を読み進めていくという感じになっています。

 なお、「カミュの刺客」は

過去に起きた熊切敏と新藤七緒の心中事件の真相を追求するため

若橋が執筆した記事になります。

 

もっと細かく書きたいのですが、

細かく書いてしまうとネタバレになってしまうので、

必要最低限の情報で書いています。

 

 

さて、この「カミュの刺客」を読み進めていくと、

いろんな関係が見えてきます。 

敵対していると思われていた熊切と神湯の関係性とか、

新藤七緒と繋がっている人物とか、

いろいろ見えてきます。

だから、予想していたことが最終的には

一気にひっくり返ります。

 

そして、この作品の面白いところは、

言葉のトリックです。

特に終盤は文章一つひとつに注意して読んでいくと、

とても気味の悪いことがわかってしまいます。

グロい話が苦手という方は避けた方が良いかもしれません。

 

 

初めて読んだときには、見事に騙されてしまいました!

既に読んだことがあるのですが、それでもやっぱり

言葉のレトリックには感動してしまいました。

 

 

普通に読んでいると、

その通りの想像しかできないのですが、

ある真実を知ったうえで読み返すと、

別の想像を働かせることができるんです!

この別の想像というのが、

本作の恐ろしいところであり、

面白い部分でもあります。

 

 

そして、さらに面白いのは

アナグラムが隠されていることです。

映像作品の『放送禁止』では、

アナグラムはお決まりのものらしいです。

このアナグラムに気が付くと、

さらに恐ろしさが倍増します。

初回読了後に謎解きをしている人のブログを見て、

思わず震え上がったことを覚えています。

 

完全な種明かしはされていませんが、

ちりばめられたヒントを元に真相に迫っていくというのは

斬新だなと今でも思います。

 「ご想像は読者にお任せします」という感じが、

本作をさらに恐ろしく、そして面白くしていると

僕は思っています。

 

ちょっと変わった謎解きをしてみたいという方に

お薦めできる一冊です!

 

映像作品の『放送禁止』もおすすめなので、

こちらも観てはいかがでしょうか?

 

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★2020/4/28追記★ 『掲載禁止』の感想記事はコチラ☟

 

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★2021/4/9追記★ 『出版禁止 死刑囚の歌』の感想記事はコチラ☟

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