にかどくログ

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【根本聡一郎/プロパガンダゲーム】読了!

みなさん、こんにちは!

絶賛転職活動中のにかどくです。

 

今回は、『プロパガンダゲーム』という小説の

感想を書いていきます!

再読ブーム中のため、今回も

2回目の読了となります。

 

プロパガンダゲーム (双葉文庫)

著者紹介

本作の著者は、根本聡一郎さんです。

福島県いわき市出身で、東北大学文学部を卒業されています。

東日本大震災を契機に、学生時代からのNPO活動と

並行して小説を書き始めたそうです。

 

他の著書としては、

  『幻覚少女』(電子書籍)、

  『脱水少女』(電子書籍)、

  『少女症候群』(電羊社)、

  『ウィザードグラス』(双葉社)、

  『宇宙船の落ちた街』(角川春樹事務所)、

                 があります。

 

概要

本作は、

就活生8人が大手広告企業の最終選考として、

仮想国家の国民を戦争に導く

プロパガンダ・ゲーム」に参加するという

物語です。

 

 

仮想国家の「パレット国」は

仮想国家で隣国の「イーゼル国」と

戦争寸前の状態に陥っています。

緊張状態に陥っている原因は、

ある孤島の領有権を両国が主張しているためです。

仮想国家「パレット国」の政府は議論の末、

イーゼル国」と戦争を行うか否かを国民投票

決めることにしました。

 

そこで、就活生8人が

戦争を推進する「政府チーム」

戦争を反対する「レジスタンスチーム」に分かれ、

戦争に導く、または戦争を阻止する宣伝を

仮想国家「パレット国」の国民に対して行います。

 

登場人物

主な登場人物です。

詳細は本書の最初のページに記載されているので

詳細は省きます。

■政府チーム

・後藤正志

・椎名瑞樹

・香坂優花

・織笠藍

 

レジスタンスチーム

・今井貴也

・国友幹夫

・越智小夜香

・樫本成美

感想

ここからは、ネタバレに注意しつつ感想を書いていきます。

 

本作の面白いところは、

さまざまな事実が明らかになっていくことで、

人の意見はいとも容易く変わってしまうことです。

たとえば、領有権を主張する孤島には、

ヤギしか存在していなかったり。

これを主張して戦争を阻止しようと

レジスタンスチームが宣伝したかと思えば、

孤島にイーゼル国の人間が

密かに上陸していたという事実

政府チームが明らかにしたり。

 

時間が経過するにつれて両チームに

不利となるような情報がもたらされます。

それによって

人々の意見も変わっていきます。

戦争賛成派の人が反対に回ったり。

その逆も然りです。

 

戦争はいけないこと。

これは誰もが持っている

価値観だと思います。

でも、戦争はいけないと分かっていても、

その時々の状況に応じては

戦争もやむなしと判断してしまう可能性は

十分にあり得ると

本作を読んで痛感しました。

与えられた情報を感情に流されること無く

冷静に処理して、考えを形成する。

これが重大な決断をする上で、

特に大切なことだと思いました。

 

本作では両チームに

スパイが1名潜入しているので、

これも面白いです。

各チームには情報格差があるので、

政府チームが持っている情報をスパイが

密かにレジスタンスチームに送っていたり。

 

逆にレジスタンスチームしか持っていない

情報拡散方法を利用して政府チーム側のスパイが

活躍したり。

 

誰がスパイなのかを気にしつつ、

読んでいくのも面白いです。

 

そして、本作の仮想国家の設定は、

何となく日本の状況に似ています。

 

もし、プロパガンダ・ゲームのように

個々の感情に訴えるような

戦争推進の広報を目にしたら、

人々は戦争をすることに

賛成してしまうのだろうかと

不安になりました。

 

本作はそんなことも考えさせられる作品です。

リアリティが凄くありますが、

フィクション作品なので、

ご安心ください。

 

 

仮想国家の国民は果たして

戦争の道を選んでしまうのか?

それとも戦争以外の道を選ぶのか?

そして、プロパガンダ・ゲームの

真の目的とは何なのか?

 

気になった方は、是非本作を手に取って、

読んでみてください!

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

プロパガンダゲーム (双葉文庫)

プロパガンダゲーム (双葉文庫)