にかどくログ

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お金が関わると人は醜くなる。 ~斜線堂有紀著『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』読了~

にかどくです。

 

今回は『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』を読み終えたので、こちらの感想を書いていきます。

 

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は斜線堂有紀(しゃせんどう ゆうき)さんです。

第23回電撃小説大賞にて《メディアワークス文庫賞》を受賞。

受賞作『キネマ探偵カレイドミステリー』でデビュー。

引用元:斜線堂有紀著『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』

(2019年/KADOKAWA/カバー袖より) 

 

概要

片田舎に暮らす少年・江都日向は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。

そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子だった。

彼女は死後三億円で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。

相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。

しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる――。

抱えていた秘密が解かれるとき二人が選ぶ『正解』とは?

引用元:斜線堂有紀著『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』

(2019年/KADOKAWA/裏表紙より) 

 

登場人物

主な登場人物を自分なりにざっくりとですがまとめてみました。

 

・江都日向(えと ひなた)

昂台の分校に通う中学2年生で本作の主人公。

弥子のマフラーを拾ったことで彼女との交流が始まり、ボードゲームのチェッカーを通して仲良くなる。

母親がサナトリウム建設反対派であり、その活動費に膨大な資金をつぎ込んでいることから、日向は貧乏な生活を送っている。

 

・都村弥子(つむら やこ)

昂台のサナトリウムに金塊病の患者として入院している女子大生で、本作のヒロイン。

マフラーを拾ってくれた日向をサナトリウムに招いてボードゲームであるチェッカーを通して彼と仲良くなる。

サナトリウムに来る前は大学で史学を専攻していた。

3億円を相続する条件として自分に勝つことを日向に提示した。

 

・十枝(とえだ)

昂台サナトリウムの医者。

日向に弥子の病状やチェッカーについて教える。

 

・北上(きたがみ)

日向の母親の再婚相手。

昂台の人間ではなかったが、昂台を活気づけるために様々な事業を行ったが悉く失敗した。

 

・一籠充晴(いちかご みつはる)

昂台の分校に通う中学2年生で、日向のクラスメイト。

卒業旅行を欠席する代わりに、学園祭をやることをみんなに提案した。

サナトリウムを建設した一籠徳光(いちかご とくみつ)は父親であるため、サナトリウムに入院している弥子の存在を知っている。

 

・遊川(ゆかわ)

雑誌・週刊現在の記者。

日向に金塊病患者の弥子の傍にいる理由を証明し続けなければならないことを吹き込んだ。

 

感想(※ネタバレ含みます。)

本作を読んでお金が絡んでくると人間は醜くなるということを痛烈に感じました。

 

金塊病の患者である都村弥子は、マフラーをたまたま拾ってくれた江都日向に自分を条件付きで相続させようとします。

金塊病とは体組織に異常をきたす病気で、名前の通り死ぬと金になってしまう病気です。

この金塊病は謎が多いため国を挙げて研究しているわけですが、金と同価値の遺体を献体として無料で提供するのはいかがなものかということで、国が遺族に金銭を支払うようになったようです。

弥子に付けられた価値は3億円。

つまり弥子が死亡すれば、3億円が遺族に入るというわけです。

しかし弥子には身寄りがいなかったため、相続相手として日向を選びましたが、相続させるための条件がありました。

それは、日向が弥子にチェッカーで勝つことでした。

日向は3億円のためにチェッカーをやることに抵抗を示していましたが、弥子との交流を深める手段としてチェッカーをやるようになりました。

そして二人は次第にお互いのことを好きになっていきました。

 

本作で印象に残っているのは弥子と日向の関係が世間に知られてしまったときです。

「弥子には3億円の価値があり、それを手に入れるために日向は傍にいる」という見方を世間はしたのです。

当の本人たちはお互いのことを好いているから傍にいるのに、世間は歪んだ見方をしました。

特にその影響を受けたのは日向の母親です。

日向の母親はサナトリウム建設反対派として活動している人物です。

その人物が雑誌を見て日向に3億円が入る可能性があると分かった瞬間、昂台から出られるかもしれないという期待を抱いて喜んでいました。

この掌返しがとても恐ろしかったです。

村の中で唯一と言って良い程のサナトリウム建設反対派の人間が、大金を手にする可能性があることを知った瞬間に、反対運動を辞める。

自分が豊かになる可能性が少しでも出てきてしまうと、人の考え方はいとも簡単に変わってしまうんだなと思いました。

 

でも一番卑怯なのは、日向の義父の北上。

彼は80万円を手にするためにサナトリウムに出入りしている日向の個人情報、さらには日向と弥子のやり取りを記者に売り渡しました。

さらに最低なのは、弥子の気持ちを一切考えなかったことと、金のためなら今後も情報を記者に渡そうとしていること。

どうせ死ぬんだから、弥子の傍に日向がいた理由はどうでも良いという考え方をしていました。

本当に人間として最低だなとこの2人に対して強く思いました。

 

本作はいろいろと考えさせられることが多かったと思いますが、それだけにとても面白かったです。

 

最後に

今回は斜線堂有紀さんの『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。

お金が関わってしまうと、純愛であったとしても他人からは歪んだ見方をされてしまうんだなと痛烈に感じました。

愛しているから傍にいるという証明はお金の前では本当に難しいなと思いました。

小難しいことを考えてみたいという方に、本作はお薦めできるかもしれません。

 

以上、斜線堂有紀さんの『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』の感想でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

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