今回は田丸久深さんの『僕は奇跡しか起こせない』を読了したので、
その感想をつらつらと書いていきます!
著者の田丸久深さんは北海道出身の方で、
本作がデビュー作です。
『YOSAKOIソーラン娘 札幌が踊る夏』(宝島社)や
『眠りの森クリニックへようこそ ~「おやすみ」と「おはよう」のあいだ~ 』(幻冬舎)
という作品も書いておられます。
僕はこの2作をまだ読んでいませんが、作品紹介を読んでみると、
どちらも地元の北海道を舞台に書いているようです。
この作品の登場人物は、以下の通りです。
(自分で登場人物を整理してみました。)
美上紗絵・・・高校養護教諭を目指している臨時教師。
逢田真広・・・紗絵の幼馴染。小学4年生のときに亡くなっているが、
「キセキ」という存在となって、紗絵の前に現れる。
村中綾音・・・高校一年生。頭痛持ちで、よく保健室で眠っている。
ノートに小説を書いている。
マスター・・・綾音がアルバイトしている喫茶店「リトル・グリーン」の店主。
仙場悠介・・・数学教師で、紗絵と真広の幼馴染。なお、綾音の担任。
村中塔子・・・産休に入った高校養護教諭。
では、ここから本題に入ります。
この作品の面白いところは、真広を幽霊として登場しているのではなく、
奇跡を起こす存在である「キセキ」として登場しています。
身の回りで起きている奇跡は、
実はこの「キセキ」が仕事をしているからなのです。
さて、この真広ですが、とてもカッコいいです。
間違いなくイケメンです。
最後の最後で、花火が暴発してしまい、
紗絵に命の危機が訪れます。
しかし、紗絵を助けるために真広は、
「キセキ」としてのタブーを犯しながらも
雨を無理やりに降らせて救いに来ます。
(なお、真広は雨が降っていないと紗絵のもとに現れることができません。)
でも、彼のイケメンなところは紗絵だけでなく、
逃げ遅れた人を先に助けているのです。
これって、並大抵のことではないと思います。
ちゃんと周りのことを見れているのが、すごくカッコ良かったです。
そして、真広は紗絵を救う最中に、
衝撃的なことを言っています。
(ネタバレになりそうなので、何かは書きません。)
真広の発言を聞いて、あの場面で現れなかったのは、
そういう理由があったからなんだと思いました。
さらに意外だったのは、
喫茶店「リトル・グリーン」の店主であるマスターの正体。
だから、他の登場人物には名前があるのに
このマスターだけには名前が無いのかと思ったりしました。
(あまり重要じゃないから名前が無いのかと思ってました。
マスター、ごめんなさい。)
そして、綾音との関係にも驚きましたし、
綾音が書いている小説の内容にも最終的には驚きました。
僕たちの身の回りで起きる「奇跡」が、
真広のような「キセキ」という存在によって起きていると思うと、
とてもロマンチックだなと思いました。
確かに身近な人が亡くなるのは辛いけど、
真広が紗絵を見守っていたように、
亡くなった人も自分たちを見守ってくれているんだなと思うと、
心が温かくなりました。
ファンタジー要素がとても強いので、
ファンタジー好きの方にお薦めできる一冊です!