にかどくです。
今回は『海底二万里』の上下巻を読了したので、こちらの感想を書いていきます。
著者紹介
本作の著者はフランスの作家ジュール・ヴェルヌです。
フランスの作家。ナント生れ。
デュマ・ベールに師事して劇作を志すが、1863年、株式仲買の傍ら書き上げた『気球に乗って五週間』が大成功を収める。
以後生涯80余編の空想科学小説を刊行、当時の科学への憧憬に支えられ世界中から熱い支持を得、多くの文学者にも影響を与えた。
なかでも『海底二万里』 (アカデミー・フランセーズ文学大賞)、『八十日間世界一周』『月世界旅行』は有名である。
引用元:ジュール・ヴェルヌ『海底二万里 上巻』(2012年/新潮社/カバー袖より)
概要
今回は上・下巻のあらすじを紹介します。
まずは上巻のあらすじから。
ときは1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた!
異形の〈怪物〉の目撃譚に人々はおののき噂した。
白鯨か? 伝説の怪異か? はたまた超自然現象か?
議論が沸騰するなか、アロナクス教授はその正体を暴くため、使用人のコンセイユとともに高速フリゲート艦に乗り込む。
それが驚くべき旅の始まりになるとも知らずに――。
少年から大人までをも魅了する海洋冒険ロマンの傑作、新訳。
引用元:ジュール・ヴェルヌ『海底二万里 上巻』(2012年/新潮社/裏表紙より)
続いて下巻のあらすじ。
科学技術の粋を集めた最新鋭潜水艦ノーチラス号!
超絶の能力を備えたその潜水艦を自在に操るのは奇妙な影を湛えた謎の人物、ネモ船長。
彼はいったい何者なのか。そしてその目的とは?
世界の海での冒険行を余儀なくされた、教授たち3人の運命は……。
19世紀の最新科学の知見をふんだんに取り入れたヴェルヌ渾身の原文を忠実に翻訳、刊行当時のイラストもすべて収録した完訳版。
引用元:ジュール・ヴェルヌ『海底二万里 下巻』(2012年/新潮社/裏表紙より)
登場人物
・ピエール・アロナクス
パリ自然史博物館教授で、本作の語り手。謎の巨大生物の調査のために、フランス政府から招請され、エイブラハム・リンカーン号に乗船した。
ネモ船長と会話することが多く、社交的。
・コンセイユ
アロナクス教授の助手であり使用人。分類学に長けている。
ネッドと共に行動する機会が多い。
・ネッド・ランド
エイブラハム・リンカーン号に雇われた腕の良い銛使い。カナダ出身。
頑固で気が短い。
ネモ船長のことをあまりよく思っておらず、ノーチラス号から脱走するチャンスを常に伺っている。
・ネモ船長
ノーチラス号の船長。ノーチラス号の甲板に打ち上げられたアロナクス、コンセイユ、ネッドを捕虜として収容した。年齢、出身地共に不明で、謎めいた人物である。
知的だが複雑な性格で、残酷さを表に出す一方で人道的な一面を出すこともある。
地上世界とは距離を置いている。
感想
本作を読む前はネモ船長が主人公の話だとばかりに思っていましたが、本作の主人公はアロナクス教授です。
そしてこの海底二万里というタイトルはアロナクス教授、コンセイユ、ネッドが捕虜としてノーチラス号で移動した距離だということを意味しているのかもしれません。
かなり消極的な背景があったんですね。
さて、この3人を捕虜として収容したネモ船長ですが、この人が何を考えているのか本当にわかりませんでした。
この3人を捕虜としているならばノーチラス号の中を自由に歩き回れるようにはしないと思います。
海底散歩もさせるわけありませんし、さらに言えばアロナクス、コンセイユ、ネッドの3人だけで島に上陸することについて反対しませんでした。
一体、ネモ船長は何がしたかったんでしょうか……?
ネモ船長はこの3人を仲間として受け入れたかったのではないかなと僕は思います。
出会いこそ最悪でしたが、海底がいかに素晴らしいかを見せることで、大陸での生活よりも海底での生活の方が魅力が多いということを実感させ、3人をノーチラス号の正式な乗組員にしたかったのではないかと思います。
特にアロナクス教授とは会話が弾む場面が何度もあったので、ネモ船長にとっては気の許せる人物だったのかもしれません。
お互いに学者ということもあるのでしょう。
ちなみにこのネモ船長ですが、本名ではありません。
「ネモ」とはラテン語で「誰でもない」という意味があるそうで、つまり彼ら3人は本名すらわからない正体不明の男と共に海底旅行をしていたということになります。
そしてなぜ地上世界との縁を切ったのかも良く分かりません。
が、どうやら『神秘の島』という作品でネモ船長の正体が明らかになっているらしいです。
時間があれば、こちらにも目を通したいなと思います。
まだまだ人間の知らないことが沢山あると思い知らされると同時に、浪漫を感じる作品でした。
最後に
今回はジュール・ヴェルヌの『海底二万里』(上・下巻)の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。
東京ディズニーシーに『海底二万マイル』というアトラクションがあります。
ここでのネモ船長はよく喋っていますが、小説通りであればもしかしたら一言も喋らなかったかもしれません。
本作では生物の名前がわんさか出てきてとにかく脚注が多いです。
本作の世界にどっぷりと浸かりたいという方は、脚注にも目を通してみてください。
また、文庫本を左右に並べてみると冒頭の画像のような一枚の絵が完成します。
遊び心があってとても面白いです。
以上、ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』(上・下巻)の感想記事でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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