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それぞれに目的を持っている。~赤川次郎著『三毛猫ホームズの証言台』読了~

にかどくです。

 

今回は『三毛猫ホームズの証言台』を読了したので、こちらの感想を書いていきます。

 

三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は、赤川次郎さんです。

1948(昭和23)年、福岡生れ。桐朋高校卒。
1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。
三毛猫ホームズ」シリーズなどユーモア・ミステリーの他、サスペンス小説、恋愛小説まで幅広く活躍。
1980年『悪妻に捧げるレクイエム』で角川小説賞、2016(平成28)年『東京零年』で吉川英治文学賞を受賞。
セーラー服と機関銃』『ふたり』『いもうと』『一億円もらったら』『無言歌』『天国と地獄』など著書多数。

 

新潮社,『著者ページ:赤川次郎

(新潮社、https://www.shinchosha.co.jp/writer/597、2021年2月18日確認)

 

概要

因縁めいたつながりのある人々が集った〈高原ホテル〉。

法廷で決定的な証言をし無罪をもたらした女性と結婚した千葉。

大企業の社長令嬢の婿となった記憶喪失の男、辻川。

彼の出現により未来を失った安西……。

奇しくもホテルに同行した片山刑事たちは、複雑な人間関係が巻き起こす事件に対峙する。

そして、ホームズの可愛らしい後輩も登場!

国民的大人気シリーズ第51弾!

 

赤川次郎著『三毛猫ホームズの証言台』

(2019年/光文社/裏表紙より)

 

登場人物 

自分なりに登場人物たちをまとめてみました。

 

・片山義太郎(かたやま よしたろう)

警視庁捜査一課の刑事。女性恐怖症であるがために、女性との接し方に苦戦している。

千葉典子殺害事件で捜査に関わっているため、夫の千葉克茂とは面識がある。

叔母の児島光枝から加賀涼子を見合い相手として紹介されるが、これをきっかけに事件に巻き込まれていくことになる。

 

・片山晴美(かたやま はるみ)

義太郎の妹。事件が起きると積極的に調査に乗り出す行動派。

ホームズの飼い主。

 

・ホームズ

メスの三毛猫。

事件捜査の際には義太郎にヒントを与えるべく奇妙な行動を取る。

 

・加賀涼子(かが りょうこ)

ホテルのラウンジで働くウエイトレス。20歳。

児島光枝によって義太郎を見合い相手として紹介される。

車に轢かれそうになった辻川友世を助けたために足を骨折するが、これがきっかけで高原ホテルに招待された。

 

・加賀ひとみ(かが ひとみ)

加賀涼子の妹で中学生。

義太郎と涼子を何かとくっ付けようとする。

公園で出会った子猫(後にパリと名付けられた)を大切に育てている。

 

・千葉克茂(ちば かつしげ)

S商事の社長。旧姓は堤。30歳。

S商事の社長は元々創業家に生まれた妻の千葉典子だったが、妻が殺害されたために社長を引き継いだ。

一時典子殺害の被疑者となったが、出会い系サイトで「ピッコロ」を森川礼子と出会い、偽証を依頼した結果無罪を勝ち取った。

 

・千葉礼子

千葉克茂の現在の妻。

子供2人を育てるための金銭を得るために、違法だとは知りつつも出会い系サイトで出会った千葉克茂からの偽証依頼を引き受ける。

克茂が無罪を勝ち取った後に結婚したが、姿を消した事実婚相手である森川誠二に恨まれることとなる。

旧姓は森川。

 

・千葉典子

S商事の元社長で克茂の妻。故人。

創業家のもとに生まれたワンマン社長。

自宅に帰宅した際に何者かによって刺殺された。

 

・辻川友世(つじかわ ともよ)

Tカンパニーの社長である辻川博巳の娘。29歳。

元々は辻川博巳の秘書である安西と結婚する予定だったが、車で轢いてしまい記憶喪失になってしまった辻川寿男と結婚した。

ホテルから出ようとした際に車に轢かれそうになったところを加賀涼子によって助けてもらったことで、その恩返しとして加賀涼子を高原ホテルに招待した。

 

・辻川寿男(つじかわ やすお)

Tカンパニーの部長。48歳。

友世出会う前までの記憶を失っている。

辻川博巳からは友世との結婚を猛反対されていたが、会社に大きな利益をもたらしたために今は認められている。

後に専務となる。

 

・辻川博巳(つじかわ ひろみ)

Tカンパニーの社長。60歳。

得体の知れない寿男と友世が結婚することに猛反対したが、友世に根負けして結婚を認めた。友世と結婚する予定だった秘書の安西がこのことに関してどのように思っているのか気になっている。

 

・安西(あんざい)

辻川博巳の秘書。

友世と結婚する予定だったが、突然現れた寿男に彼女をとられてしまったことで恨みを持っており、辻川夫妻が高原ホテルに赴く際にはある目的を達成するために休暇を取っている。

 

・宮前あかり(みやまえ あかり)

辻川博巳の秘書だったが、後に辻川寿男の秘書となる。28歳。

突然のトラブルに見舞われても冷静に対処する。

 

・千葉光男

千葉典子の弟。10代の頃に世界を旅していたが、アフリカで消息を絶ったとされており消息不明となっていた。

しかし、千葉夫妻が宿泊している高原ホテルにFAXを送信した。

 

・森川誠二(もりかわ せいじ)

森川礼子(現・千葉礼子)の事実婚の夫。

礼子の前から突然いなくなり、その間に礼子が千葉克茂と結婚していることに激怒し、礼子が克茂と結婚する前に住んでいたアパートを訪れた際にアパートに住んでいる安田房子を殺害してしまった。

異常な程に執念深い。

 

・北里(きたざと)

辻川寿男の過去を知る男で強盗の常習犯。

寿男と一緒に5000万円以上を奪ったが、彼に奪った金を独り占めされえたこと(正確には寿男は記憶を失ってしまったため、金の在り処がわからず分け合うことができない状態だった)に激怒する。

 

・石津

片山の同僚。猫が苦手。

義太郎と共に高原ホテルへと向かう。

 

・五十嵐秋代(いがらし あきよ)

高原ホテルに一番近い駅で働く臨時職員。

歩いて高原ホテルに向かう森川誠二を車でピックアップし、息子の宿題を見てもらうという条件を提示して誠二を自宅に泊める。

駅での仕事が打ち切りになることから、誠二から提案された誘拐計画に乗る。

 

・丸山ゆずる(まるやま ゆずる)

森川誠二の妹。

森川誠二のことについて話すべく、片山義太郎たちが宿泊する高原ホテルに向かった。

夫の丸山とは別れている。

 

感想(※ネタバレあり)

 

本作はとにかくいろんな人が誰かしらに復讐心を持っています。

だから話が若干複雑な気がしました。

千葉光男は妻殺しの事件で無罪となった克茂をまだ犯人として疑っているがために、白状させるために結果的に森川誠二や北里と共に加賀ひとみを誘拐します。

森川誠二は勝手に千葉克茂と結婚した礼子に恨みを持っています。

北里は奪った5000万円の行方を知るために、辻川寿男を狙っていました。

つまり本作では3つの事件が同時に進行していたことになります。

そして面白いのはそれぞれのターゲットが奇しくも同じホテルに宿泊しているところです。それも金持ち夫婦が2組もいるのですから、金銭を巻き上げるのにはうってつけです。

 

さらに面白いのは辻川寿男の正体です。

加賀涼子は彼のことを父親に似ていると言っていましたが、これは強盗の常習犯である北里によって裏付けられます。

辻川寿男は自身が強盗犯だったことを知り、義太郎に逮捕されるのかどうか問いますが、義太郎はこんなことを言います。

「いつ、どこでの犯行かわからないし、そもそも大金を奪ったというような事件が見当たらない」

僕が想像するに、この大金というのはTカンパニーから奪ったもので、辻川寿男(強盗犯の時は加賀久男)が大金を抱えたバッグやらリュックなりを持って逃走している途中に、友世が運転していた車に轢かれたのではないかと思いました。

(Tカンパニーから大金が奪われたという描写が無いので、この想像は的外れかもしれません。)

犯人がTカンパニーのもとに戻ってきたために、会社は被害届を出さなかったのではないかと思います。

そうじゃなきゃ、得体の知れない辻川寿男と友世の結婚を社長の博巳が突然許すはずがないのではないかと思います。

こういう経緯があって、事件化されなかったのではないかと勝手に思っています。

 

可哀そうなのは、秘書の安西。

突然現れた寿男に友世をとられてしまうし、ある目的を持って高原ホテルに向かうも北里に拘束されたばかりか、高原ホテルの前で殺害されてしまいました。

良からぬことを起こそうとしていた人物でしたが、不満をどこにぶつけることなく亡くなったという印象を持ちました。

 

最後に

今回は赤川次郎さんの『三毛猫ホームズの証言台』の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。

赤川次郎さんの作品、そして「三毛猫ホームズ」シリーズを読むのは本作が初めてでしたが、文章のテンポが良くてとても読みやすかったです。

三毛猫ホームズ」シリーズは歴史が長いようなので、全部を読むのは大変そうですが、1冊で1つの事件を扱っているので、どの巻から読んでも楽しめそうだなという印象を持ちました。

 

ちなみに、本作は日向坂46とコラボレーションした「日向坂文庫2021 冬の書店デート」フェアの1冊として選ばれています。

このフェアは対象書目がなくなり次第終了とのことなので、日向坂46のスペシャルカバーをGETしたい方は、手に取ってみてください!

本作のスペシャルカバーは金村美玖さんが担当しています。

 

定番の推理小説を読みたいという方は、本作を読んでみてはいかがでしょうか。

 

以上、赤川次郎さんの『三毛猫ホームズの証言台』の感想記事でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

☆宜しければ、記事に対する感想をコメントしていただけると嬉しいです☆

 

 

三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

 

 

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