こんばんは。
にかどくです。
おぎぬまXさんの『爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー』を読了してので、
今回はこちらの作品の感想を書いていきます。
(Amazonにリンクが飛ぶようになっていますが、本ブログ管理者の利益にはなりません。)
著者紹介
本作の著者はおぎぬまXさんです。
1988年、東京都生まれ。元お笑い芸人。
ギャグ漫画家として2019年に『だるまさんがころんだ時空伝』で第91回赤塚賞入選。2021年には『ジャンプSQ.』(集英社)にて『謎尾解美の爆裂推理‼』を連載(同社より単行本も刊行)。また、ジャンプ小説新人賞2019・小説フリー部門にて銀賞を受賞し、『地下芸人』(集英社)で2020年に小説家デビュー。他の著書に『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』(集英社)がある。2023年、第21回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として本作が選出される。
おぎぬまX著『爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー』
(2023年/宝島社/カバー袖より)
概要
東京・町田のご当地ヒーロー、マチダーマン。
その運営会社で働く志村は、ある日テレビのニュースを見て衝撃を受ける。町田で少年が誘拐されたが、何者かが誘拐犯を殺害し、少年を救出。助けられた少年が「正義のヒーロー」として描いた絵は、かつて志村がデザインし、お蔵入りになったはずのヒーロースーツだった! 周囲は空似だというが、志村が悶々とするなか、第二の事件が起き……。
おぎぬまX著『爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー』
(2023年/宝島社/カバー裏表紙より)
感想(※ネタバレ含みます)
ここから感想を書いていきますので、
ネタバレを防ぎたいという方はここで引き返してください!
では、ざっくりと感想を書いていきます。
この作品には様々な謎が組み込まれています。
大体3つぐらいでしょうか。
大きな謎は、
少年の誘拐事件および殺人事件に関与しているご当地ヒーローの正体は誰なのか。
実はこのご当地ヒーローは本作の主人公の志村がデザインしたもので、
発注した会社が倒産したことにより、
スーツは会社の倉庫に眠っているはずでした。
志村が念のために倉庫に行ってヒーロースーツの確認をしてみると、
そのヒーロースーツは姿を消していました。
誰がヒーロースーツを着て犯行に及んだのか。
これが本作のメインの謎です。
2つ目の謎は、
志村が所属しているデザイン部の部長・三野村がご当地ヒーロー「マチダーマン」の怪人をすべてデザインしていること。
志村は怪人のデザイン案を副部長の森田に提出しているのに、
提出した翌日くらいには衣装部の方に決定したデザインが周知されている。
しかも三野村のタスクは常に多いため、
1日で提出したデザイン案を見ることは不可能なのです。
志村のデザインが悪くて選考から落ちたとも考えられますが、
それでもデザインが決定されるまで早過ぎる。
これに志村が疑問を持っているのでした。
そして3つ目の謎は、
どうして大物俳優が「マチダーマン」のショーに訪れたのか。
大物俳優の姿を観客席で観つけたキャスト陣は、
良い所を見せようとして我儘になったり、シナリオの変更をしたりとやりたい放題。
そのおかげで、ショーは台無しになってしまうわけです。
普通に考えれば大物俳優が「マチダーマン」のファンだからという予想しますが、
実はこの大物俳優はショーの本編が始まると観客席から姿を消していたのです。
では、どうして彼の姿が観客席にあったのか謎です。
志村はこの謎についても解決しようとします。
本作は様々な謎が散りばめられて面白かったのですが、
志村が所属する会社がブラック企業そのものだったので、
読んでいて苛つく場面もありました。
志村に500円玉を飲み込ませたり。
ヒーローショーの失敗を志村に押し付け、局所を火炙りしてみたり。
こんな会社が実際にあるのだとしたら、
社会的制裁を存分に受けてほしいと思いました。
あとは社長がワンマン経営していると、
ブラックになる傾向になってしまうとも思いました。
「マチダーマン」を演じている俳優もなかなかムカつく人で、
マチダーマンの登場シーンなのに、
パーツが揃ってないから登場しないと我儘を言ったり。
志村に500円玉を飲み込ませてみたり。
志村が局所を火炙りされている時をスマホで撮影したり。
道徳心を完全に失っている大人に見えました。
自分が良ければ良い。楽しいと思えれば良い。
物事の善悪を付けられない人には、怒りしか覚えません。
そんな人物をよく描けていると思いました。(上から目線っぽくてすみません。)
こういう人間が怪人にあたるのでしょうね。
ただ感動する場面もあって、
ヒーローショーで悪役をやっている人物が命を懸けて通り魔と対峙している場面には勇気を貰いました。
普通なら逃げるところを、逃げ遅れている人を見つけるや否や、
通り魔がその人に視線を向けないように立ちはだかるわけです。
ターゲットを自分にするように。
こういう人は根っからのヒーローなんでしょう。憧れます。
本作の面白いところは小さな謎がメインの謎の解決にすべて繋がっていることです。
一つ一つの謎が解けていくことにより、
メインの謎の解明に繋がっていくのがとても心地良かったですし、
ページをめくる手が止まりませんでした。
最後に
今回はおぎぬまXさんの『爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー』の感想を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。
この作品の舞台は東京都町田市で、
町田市出身の僕としては馴染みのある場所ばかりが登場したので、
場面のイメージをしやすかったです。
表紙も町田市を象徴するような場所で撮られているので、
少しだけ感動を覚えました。
この場所が小説の表紙になるなんて!という具合に。
本作がこのミス大賞の隠し玉であることも納得の1冊でもありました。
以上、おぎぬまXさんの『爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー』の感想でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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