にかどくの平凡生活

読書好きの平凡なサラリーマン。好きなことや気になったことを書いていこうと思います。

【安生正/生存者ゼロ】読了!

今回は『生存者ゼロ』という小説を読み終えたので、

こちらの感想を書いていきたいと思います!

今回も再読了した作品になります。

 

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

本作の著者は安生正さんという方です。

ブックカバーの袖に作者の紹介が記載されているのですが、

安生正さんは京都大学大学院工学研究科を

卒業されているそうで、

現在は建設会社に勤務されているとのことです。

会社員をしながら、執筆活動をする。

とても憧れてしまいます!

 

他の著書には『ゼロの迎撃』(宝島社)、

      『ゼロの激震』(宝島社)、

      『Tの衝撃』(実業之日本社)、

      『レッドリスト』(幻冬舎)、

      『東京クライシス 内閣府企画官・文月祐美』(祥伝社)

      などがあります。

 

また、本作は2012年度の『このミステリーがすごい!』大賞の

大賞受賞作となっています!

この本に出会ったのは、いまから6年前です。

文庫本で買ったのですが、

当時の帯には「全員死亡! 死因不明!」という文字が

踊っていたので、

とても興味をそそられたことを覚えています。

 

 

さて、本作の主な登場人物を自分なりに

まとめてみました。

登場人物が多いので、

主要な人物のみを紹介します。

 

・廻田宏司

陸上自衛隊三等陸佐。

石油掘削プラットフォームTR102に派遣された部隊の隊長。

TR102で起きた謎の感染症の真相を究明するために、

寺田陸幕長の命令で極秘裏で動く。

 

・富樫裕也

天才感染症学者。

ある出来事がきっかけで薬物に手を染めてしまう。

 

・伊波

廻田とともに石油掘削プラットフォームTR102に派遣された

防衛大の専修医。

その後、廻田とともに感染症の真相を究明するために動く。

 

・広瀬

東千歳駐屯地の医務官。

医務官として高い誇りを持っており、

廻田とともに感染症の真相を究明するために動く。

 

・弓削亜紀

東都大学農学部環境昆虫学研究室所属の生物学者

廻田とは北海道川北町で出会い、その後、

廻田の極秘任務に参加することとなる。

 

・寺田

陸上自衛隊陸幕長。

事態が深刻化する中、政府が事態を楽観視していることに

危機感を覚え、廻田にTR102に端を発する一連の事件の

真相を極秘裏に究明するよう命じる。

 

 

物語としては、石油掘削プラットフォームTR102で

発生した感染症の正体を廻田・弓削・伊波・広瀬の4名で

究明していくミステリー小説となっています。

ただ、最後の方ではパニック小説に様変わりしますので、

ミステリーとパニックを両方楽しみたいという方には

満足できる小説なのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

この作品で僕が注目したのは、

恐怖が人知れず迫ってきているにも関わらず、

政府は楽観視しているという点です。

これから大きなポイントを絞って物語の流れを

ネタバレしない程度に書いていきます。

 

 

 

 

石油掘削プラットフォームTR102で、

職員全員が無残な姿で死亡しているにもかかわらず、

TR102に派遣された廻田たちに感染症の発症が見られないという

理由から、事態が終息したと判断してしまいます。

この時、原因究明のために政府から呼び出されていた富樫が

政府の対応や国立感染症研究所の意向に異を唱えます。

(正確に言えば、国立感染症研究所細菌第一部長の意向)

しかし、富樫の意見は受け入れられるどころか、

腫れ物扱いされ、国立感染研究所を追い出されてしまいます。

 

 

 

国立感染研究所が懸念したのは、

感染症の研究によってBSL-4を稼働させていることです。

「BSL」とはバイオセーフティレベル(BioSafety Level)の略称で、

細菌やウイルスなどの微生物、病原体等を取り扱う

実験室や施設の格付けを表すものです。

そして、BSLには4つのランクがあり、

そのうちのレベル4は、

毒性や感染性が最強クラスの病原体を

取り扱う研究施設になります。

このBSL-4の研究施設では、

エボラウイルス天然痘ウイルスなどが扱えます。

(ちなみに新型コロナウイルスはBSL-3に該当するようです。)

 

 

 

これが周辺住民にバレたらパニックになるし、

大バッシングを受けること間違いなし。

それを恐れ、コンピュータシミュレーションで

原因を究明することにシフトチェンジしてしまいます。

また、政府は政府でWHOから専門家を派遣されることで、

事態が世界に知られてしまうことを恐れ、

原因が特定できないまま事態を終息させてしまいました。

 

 

 

その結果、TR102の事件の9か月後に

今度は北海道標津町感染症により壊滅

してしまいました。

この現状を受けても、政府が考えていたことは

防疫よりも国会対応でした。

そして、感染症の原因と対策を未だに見出せていない

国立感染症研究所の部長に責任を転嫁します。

 

 

 

さらに、3か月後には北海道の

複数地域が感染症により壊滅してしまいます。

このことは世界に知られてしまっているので、

日本が孤立してしまう可能性が浮上しました。

しかし、それでも政府は感染症の対処を

北海道県知事に丸投げしたのです。

その結果、失われなくても良い大勢の

命が失われてしまいました。

 

 

そして、廻田たちが原因を突き止めても、

政府は廻田たちの言っていることを

荒唐無稽な話だとして受け付けません。

それどころか、弓削が日本が滅亡する危機に瀕していると

訴えても、政府は廻田たちが突き止めた原因を

真実であるかどうか検証しようとします。

 

 

 

しかし、その間にも夕張と岩見沢は壊滅し、

ようやく政府は事態を重く受け止め、

北海道全域に非常事態宣言を発令します。

ただ、対策を決め切れていなかったので、

北海道民はパニックに陥ります。

 

 

 

そして、最終的には

政府は富樫の悪魔の囁きにより、

北海道をーモバリック爆弾で焼却する

という判断を下しています。

統合幕僚長や寺田陸幕長はこの判断に対して、

怒りを露わにするものの、

政府は作戦の責任者である寺田陸幕長に責任を

押し付けます。

(なお統合幕僚長は、罷免されてしまいます。)

 

 

 

 

 

ざっくりと大きなポイントだけをかいつまんで

書いてみましたが、

フィクションだとは言え、

現実の状況にとても似ているのではないかと

思いました。

 

本作では、現場や専門家の声を蔑ろにした結果として、

日本滅亡の危機を招いています。

 

中国の武漢新型コロナウイルスが猛威を

奮っていたにも関わらず、

中国人観光客を無条件で迎え入れたりとか……。

 

東京五輪を気にしてか、

新型コロナウイルス対策を

先延ばしにしていたりだとか……。

 

東京五輪が延期になったことが決定した瞬間に、

新型コロナウイルス対策に本腰を入れたりとか……。

 

医師会が医療崩壊の危機を宣言しているのに、

なかなか非常事態宣言を出さなかったり……。

 

本作を読んで、

フィクションでありながらも

現実の問題と類似しているなと思いました。

 

 

自分の命を引き変えてでも、国民を護る。

そういう責任を持っている人じゃないと、

政治家は務まらないというのも感じました。

オーバーな表現ではありますが、

「先生と呼ばれたい!」だとか、

「威張り散らしたい!」だとか思われたい人や、

「秘書が勝手にやりました」と平気で言えるような人は、

政治家になる資格はないなと思いました。

(本作の寺田陸幕長や廻田たちは政府を痛烈に批判しています。)

 

 

また、そういう人たちを国政に送らないためにも、

有権者がじっくり考えて国会議員なり、

地方自治体の議員なりを選ぶ必要があると思いました。

(議員は有権者によって選ばれているため、

有権者も責任を持って議員を選ぶ必要があります。)

 

 

そして、現実を正しく捉え、

迅速に行動を起こさないと手遅れになるというのも

本作から学びました。

保身のために動くと、いつかは自分に返ってくる。

そう実感させられました。

 

 

政治の話になってしまいましたが、

ただのミステリやパニックものと異なり、

非常事態に陥ったときの政府の動きが

取り入れられているので、

現場と政府の事態への温度感の違いを感じながら

楽しく読むことができました。

また、本作の感染症の正体は意外なものでした。

 

 

日本や世界を滅亡する危機に陥れた

感染症の正体が何なのか。

 

気になる方は是非、読んでみてください!

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
 

 

最後までご覧いただき、

ありがとうございました!