にかどくログ

読書をこよなく愛する平凡なサラリーマン。

いまの会社が辛ければ辞めてしまいましょう。 ~北川恵海著『ちょっと今から仕事やめてくる』読了~

にかどくです。

 

今回は『ちょっと今から仕事やめてくる』を読了したので、こちらの感想を書いていきます。

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は北川恵海さんです。

大阪府吹田市出身。

第21回電撃文庫小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を本作で受賞しデビュー。

あきれるほどのインドア派。

甘いものとコーヒーと紅茶、音楽とテレビがあれば毎日幸せ。

でも趣味は旅行という矛盾。

スポーツは見る専門。

青黒のサッカーチームを熱く応援中。

引用元:北川恵海著『ちょっと今から仕事やめてくる』(2015年/KADOKAWA/カバー袖より)

 

概要

ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。

同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。

なぜ赤の他人をここまで?

気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった――。

スカッとできて最後は泣ける、第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞〉受賞作。

引用元:北川恵海著『ちょっと今から仕事やめてくる』(2015年/KADOKAWA/裏表紙より)

 

登場人物

・ヤマモト

本作の主人公。青山隆の同級生を名乗る男で、大阪弁で話す。

駅で飛び降り自殺をしようとしていた青山を再会と称して止め、飲みに誘う。

隆が仕事で悩んでいることを読み取り、会社をやめることなどを提案したりした。

 

・青山隆(あおやま たかし)

本作のもう一人の主人公で語り部ブラック企業の営業職として仕事をしている。

上司のパワハラに耐え兼ねた末に駅で飛び降り自殺しようとしたところで、ヤマモトに引き止められた。

ヤマモトと話していくうちに、考え方が変化していく。

 

・五十嵐(いがらし)

隆の職場の先輩。

自分の営業成績を上げるために、隆が作成した発注書を書き換えたうえで、隆の取引先を奪った。

 

・部長

隆と五十嵐の上司。

気に入らないことがあるとすぐに大声で怒鳴り散らし、職場の雰囲気を悪くしている。

隆に対しては強く当たっており、人格を否定するようなことも言う。

 

感想(※ネタバレ含みます。)

本作は働く人たちに対して「仕事だけが人生じゃない」ということを強く訴えかけている作品だと僕は思っています。

というのも、本作の語り部である青山隆はブラック企業に勤める新卒会社員。

サービス残業、休日出勤は当たり前。

成績が悪いと上司にこっ酷く怒鳴られたり、人格を否定される。

こんなことを毎日繰り返していたら、死んで楽になりたいと隆が思っても仕方のないことです。

ここで僕たち読者はこんなことを考えてしまいます。

 

そんなに辛いなら仕事を辞めちゃえば良いじゃん……。

 

ヤマモトも隆にそんなことを言っていましたが、彼は無理だと最初は言っていました。

仕事を辞められない理由を隆はあーだこうだと言っていましたが、結局は正社員という肩書を失いたくなかったからです。

正社員という肩書が無くなってしまうと、確かに不都合が起きやすいような気がします。

 

収入が安定しないから結婚し辛い。

周りから無職だと蔑まれる。

親族からはゴキブリを観るかのような目で見られて居心地が悪い。

 

こういう状態になりたくないから、隆は正社員にこだわっていたんだと思います。

僕もこの気持ちがわかりますし、会社に勤める大多数の方も共感できるのではないでしょうか。

でも正社員にこだわり続けて命を落としてしまったら意味がありません。

命を落とすぐらいなら、仕事を辞めた方がマシです。

それに隆の母親が言っているように、会社は世界に一つしかないというわけではないのですし、生きていればどうにかなります。

だから、仕事のせいで精神的に追い詰められている方は、死ぬのではなく休職するか辞めるかして心を落ち着かせてください。

 

隆が仕事を辞めようとしなかったのは、正社員という肩書を失いたくなかったからだけではないと僕は思っています。

部長の罵倒も原因だと思っていて、隆がミスした際に給料泥棒」だとか「会社に損害を与える奴は生きている価値がない」と怒鳴り散らしていました。

こんなことを毎日毎日言われていたら本当に気が滅入りますし、自分を受け入れてくれる会社はこの世界にはないだろうと自己否定に陥ってしまいます。

いまの会社で活躍できない自分が他の会社でも活躍できるわけがないという思い込みが部長の言葉で刷り込まれてしまったのだと思いました。

 

 

でも、僕は言いたいです。

いまの会社で活躍できなかったから、他の会社に行っても活躍できないというわけでは決してありません。

場所が変われば、求められる能力も変わるからです。

いまの会社で短所と言われていたことが、他の会社では長所となる可能性があります。

もちろんその逆もあるとは思いますが、それでも「絶対」とは限りません。

だから、いまの会社で散々なことを言われても決して落ち込まないでください。

きっと輝ける場所がどこかにあるはずです。

 

本作を読むと自分の人生が誰のためにあるのかに気付きますし、家族の有難みがとても染みます。

本作を読むのは今回で2回目ですが、本当に名著だと思いました。

 

最後に

今回は北川恵海さんの『ちょっと今から仕事やめてくる』の感想でしたが、いかがだったでしょうか。

本作は働く人なら誰もが共感できる作品だと思います。

もしも隆と同じような労働環境になっているのであれば、仕事を辞めるか、休職するかを本気で考えた方が良いと思います。

僕たちは人生を全て仕事に捧げるために生まれてきたわけではありませんし、仕事で病んで死ぬのは非常に勿体ないです。

生きてさえいれば良いことが必ずあるはずなので、生きて欲しいと思います。

 

ちなみに本作は2017年に俳優の福士蒼汰さんと工藤阿須加さんがW主演で映画化されています。

気になった方は映画も観てみてはいかがでしょうか。

 

以上、北川恵海さんの『ちょっと今から仕事やめてくる』の感想でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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