にかどくログ

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「呪い」は連鎖する ~深志美由紀著『怖い話を集めたら 連鎖怪談』読了!~

にかどくです。

 

おどろおどろしいタイトルになってしまいました。

今回は集英社から出版されている『怖い話を集めたら 連鎖怪談』を読了したので、こちらの感想を書いていきます。

この時期に最適な小説です。

 

怖い話を集めたら 連鎖怪談 (集英社文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は、深志美由紀(読み方は「みゆき・みゆき」)さんです。

著者の作品を読むのは今回が初めてです。

以下が著者の詳細です。

神奈川県大磯町出身。2001年「あなたはあたしを解き放つ」で集英社ノベル大賞佳作を受賞(深志いつき名義)。10年『花鳥籠』にて第一回団鬼六賞優秀作を受賞。同作品は13年映画化。官能・性愛小説の執筆を中心に恋愛コラム、漫画原作なども手掛ける。近刊に『美食の報酬』(講談社)など。 

 

深志美由紀著『怖い話を集めたら 連鎖怪談』

(2020年/集英社/著者紹介より)

 

概要

恋愛小説家のいつきは、旧知の元編集者から怪談の収集を依頼される。ノベルアプリ開発のため、彼が紹介する取材相手から怪異体験談を聞き、原稿にまとめるという仕事だ。

友人に反対されつつも生活費のために依頼を引き受けたいつきだが、異様な体験の数々を聞き集めるうちに奇妙な夢を見るようになり、身の回りにも変化が……。「呪い」が、システムに則って動き出す。

文庫書き下ろし。

 

深志美由紀著『怖い話を集めたら 連鎖怪談』

(2020年/集英社/裏表紙より)

ちなみに本作はプロローグと5つの怪異体験談で構成されています。

それぞれの怪異体験談の概要を自分なりにざっくりとまとめてみました。

第一章 御嫁様

酒々井の家系内では、「加護の面」である「御嫁様」が代々受け継がれているという。

この「御嫁様」を受け継ぐことにより、酒々井家は現在まで存続してきた。

しかし、この「御嫁様」にはある「呪い」が隠されているのだ。

酒々井家の男子がなぜ短命なのか、なぜ頭や顔に怪我や病気をして亡くなることが多いのか。

「御嫁様」のルーツを知ることで、それが明らかとなる……。

 

第二章 黒い顔

霊感のある聡見は、友人である亜矢とその恋人であるアキオのマンションを引っ越し祝いで訪れ、そこで嫌な感覚があった。

引っ越し祝いから3カ月経過したところで、亜矢からアキオが何かの鳴き声のせいで病んでいることを聞く。次に彼女たちを訪ねると、彼女たちに死が近付いていることが判明する。

聡見は彼女たちを救うために、マンションやその周辺のことを調べ、彼女たちの部屋で起きる怪異現象の原因を突き止め対処を始める。

しかし、怪異現象が起きる原因は聡見が突き止めたことだけではなかった……。

 

第三章 揺れる

既婚者である成海は大学時代の友人で厄介事を持ち込んでくる美月と共に、美月の彼氏である後藤が営んでいるカフェでランチをする。

美月は勝手に後藤に連絡先を教えてしまい成海は激怒するが、後日美月から後藤と過激なSMプレイをしていることを明かされる。さらに、成海を後藤に紹介した理由は服従した証を後藤に示すためだった。

成海は後藤と肉体関係を持ったころ、成海のもとに誕生日プレゼントが母から届く。

しかし、そのプレゼントは母からのものではなかった……。

第四章 空き家の話

怪談話がなかなか集まらない主人公の齋藤いつきは地元に帰省し、従兄弟の息子である丘(たかし)から幽霊屋敷で体験したことを語る。

幽霊屋敷で深夜にセーラー服を着た少女と出会う。同行していた先輩や同級生は彼女が自分たちと同じように肝試しに来ていて、友達とはぐれたものだと思っていた。ただ、丘にはこの少女の存在自体が不可解であること、そして先輩や同級生の態度が奇妙になっていたことに気付いた……。

 

第五章 憑くもの

怪談話をまとめていた齋藤いつきの身にも異変が起き始め、遂に霊能者から今回の仕事を断るように告げられる。

仕事を完遂させたかったいつきはその欲と闘いながら、仕事の発注元である出水(いずみ)に仕事を断りたいと申し出る。が、出水はいつきの自宅を訪れ、自身の怪談を話し始める。

いつきの身に起きた異変の原因と彼の怪談には、繋がりがあったこと、そして出水の真の目的が明らかとなる……。

 

登場人物

登場人物を大まかにまとめてみました。

 

共通の登場人物

・齋藤いつき

本作の主人公で恋愛小説家。

経済的に困窮していたため、怪談の取材とシナリオ制作を出水に依頼され引き受ける。

なお、出水には過去に好意を寄せており、肉体関係を持ったこともある。

 

・出水青葉(いずみ あおば)

いつきに怪談話の取材等を依頼した元編集者。スマートフォン用ゲーム開発会社を起ち上げた人物。女性に非常にモテるため、とっかえひっかえ女性と交際している。

「第五章 憑くもの」の語り部でもある。

 

・成海琴子(なるみ ことこ)

「第三章 揺れる」の語り部。34歳の編集者で、いつきと怪談話を取材をしていた人物。家庭を持っているが、トラブルメーカーであり大学の友人でもある美月の厄介事に巻き込まれ、美月の彼氏である後藤と肉体関係を持つ。

 

森富美弥子(もりと みやこ)

歴史小説の表紙を手掛けるイラストレーター。

霊感があり、いつきに出水の仕事を断るよう忠告した。

 

・荒銀凪(あらがね なぎ)

いつきの高校一年生の時からの親友で、霊感がある。

高校生のときに軽音楽部に所属していた。いまでもインディーズバンドの活動を続けており、ステージに立っている。

怪談話を集めるといういつきの仕事に抵抗感を示している。

各章の登場人物

第一章 御嫁様

・酒々井亨(しすい とおる)

「第一章 御嫁様」の語り部。38歳の会社員。大学自体のワンダーフォーゲル部で出会った志保乃と結婚している。

御嫁様に対して恋焦がれている一面を持っている。

 

第二章 黒い顔

・聡見莉代子(さとみ りよこ)

「第二章 黒い顔」の語り部。45歳のシングルマザーで、結婚前には編集者として仕事をしていた。出水とは面識がある。

霊感があり、死が近い人には顔に黒いもやがかかったように見える。

 

・亜矢

聡見の幼馴染で親友。交際しているアキオと海辺のリゾートホテルのようなマンションに引っ越したが、そこで奇妙な体験をする。

 

・アキオ

亜矢の交際相手で、無職。亜矢の代わりに家事全般をこなしていたが、部屋の異変にいち早く気付き塞ぎ込み始めた。

第三章 揺れる 

・倉本美月

成海の大学時代の友人でトラブルメーカー。

大学時代にはサークルの男子に2股をかけたりと度々厄介事を起こしていた。

しかし、成海曰く美月はおっとりした調子のどこか憎めない人物。

彼氏でカフェのオーナーである後藤とは過激なSMプレイを楽しんでいる。

 

・後藤

美月の彼氏でカフェのオーナー。29歳独身。大学卒業後に京都の有名な料亭で修業をしていた。多くの女性からモテるが、女性にはだらしがない。

 

第四章 空き家の話

宇土丘(うど たかし)

「第四章 空き家の話」の語り部。14歳の中学生でいつきの従兄弟の息子。

帰省したいつきに自身が地元で有名な幽霊屋敷で体験したことを語る。

 

第五章 憑くもの

・土屋瑠依(つちや るい)

森富の甥で、線の細い19歳の少年。霊能者で、いつきに出水からの仕事を断るよう強く警告した。出水の作ろうとしているアプリが大きな呪いを作り出す装置であることを見破った。

 

感想(※ネタバレ含みます。見たくない方はスキップしてください。)

「呪い」の怖さを存分に味わえる一冊でした。

個人的に嫌だなと思ったのは、「第三章 揺れる」です。

 

章を読み進めていくと、後藤が使っているラブホテルの裏事情というものが判明します。実は後藤の使っているホテルは、過去にSMプレイで女性が死亡していたのです。

オカルトサイトでは死亡した女性の名前もあったようです。×野光恵という方がSMプレイの末に無くなってしまったようです。

犯人は捕まっていないようですが、おそらく犯人は後藤でしょう。

SMプレイが好きだから、後藤が犯人だと言っているわけではありません。

なぜなら、美月の成海との会話が引っかかったのです。

後藤は美月のことを「みーちゃん」と繰り返し呼びながらセックスをしていたようですが、後藤の背後でそれに呼応して返事が聞こえたというのです。

 

返事をしていたのは、おそらく×野光恵の霊でしょう。

そして、成海の首の痛みの原因もこの霊の仕業だと思います。

×野光恵は頸動脈を切られて亡くなっているのです。

 

彼女たちをこの霊が呪う理由は、嫉妬心でしょうか。

死んでもなお、後藤は私のことを愛しているとでも思っているのかもしれません。

それが怨念に変化しているのかもしれません。

 

ただ、恐ろしいのはこれだけではありません。

成海に送られたプレゼントの送り主は成海の夫の愛人でした。

お互いに不倫をしていたわけですが、恐ろしいのはプレゼントの中身です。

美月がかつて言ったようなことがプレゼントで再現されていたのです。

ということは、この愛人も後藤と繋がりがあったということになりますし、美月が嫉妬していた相手は成海の夫の愛人であったことも分かります。

その人は夫の愛人として成海に嫉妬していたわけではなく、後藤の彼女として成海を嫉妬していたのだろうことが想像できます。

一人の男性の愛を巡って、常軌を逸した行動に出る人間にも恐ろしさを感じました。

 

最終的には後藤は他の女性とも交際しているような場面が映し出されますが、それと同時に呪いが終わらないことも描写されています

また、成海琴子も行方不明になっていることが第五章の最後で語られており、彼女もおそらくは……。

 

どの話も「呪い」の不気味さが滲み出ていて、良い意味で良かったです。

ただ、「呪い」とは関わりたくないというのは言うまでもありません。

最後に

深志美由紀さんの『怖い話を集めたら 連鎖怪談』の感想記事でしたが、いかがだったでしょうか。

書店でたまたまこの本が目に入り、表紙の不気味さに興味を持ち思わず手を出してしまいました。

怖さのレベルは抑え気味に感じたので、ホラー系は苦手だけど少し背筋が凍るような体験をしてみたいと思った方に最適かもしれません。

(感想で「恐ろしい」を連発しましたが、本作はまだ易しい方だと勝手に思っています。)

とは言っても、ホラー系の小説を読む回数が少ないので僕の感覚は当てにならないかもしれません。

気になったら読んでみてはいかがでしょうか。

 

以上、深志美由紀さんの『怖い話を集めたら 連鎖怪談』の感想記事でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

怖い話を集めたら 連鎖怪談 (集英社文庫)
 

 

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追伸

もし、ホラー系の小説でお薦めのものがありましたら、コメントで教えていただけると幸いです。機会があれば読んでみたいと思います。