にかどくです。
今回は『この気持ちもいつか忘れる』を読了したので、こちらの感想記事を書いていきます。
著者紹介
本作の作者は住野よるさんです。
『君の膵臓をたべたい』や『青くて痛くて脆い』を生み出した方です。
高校時代より執筆を開始。
2015年に刊行したデビュー作『君の膵臓をたべたい』が大ベストセラーになる。
著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』 『麦本三歩の好きなもの』がある。
清水音泉が好き。
住野よる著『この気持ちもいつか忘れる』
(2020年/新潮社/カバー袖より)
概要
退屈な日常に飽き飽きしながら暮らす高校生のカヤ。
平凡なクラスメイト達を内心で見下しながら、自分自身も同じくつまらない人間であることを自覚していた。
そんなカヤが16歳の誕生日を迎えた直後、深夜のバス停で出会ったのは、爪と目だけしか見えない謎の少女だった。
突然のあまりに思いがけない出会いに、動揺するカヤ。
しかし、それは一度だけのことではなく、その後、カヤは少女・チカと交流を深めていく。
どうやらチカはカヤとは異なる世界の住人らしい。
二人の世界には不思議なシンクロがあり、チカとの出会いには何かしらの意味があるのではないかとカヤは思い始める。
住野よる『この気持ちもいつか忘れる』特設サイト|新潮社
(2020年10月2日確認)
登場人物
自分なりに登場人物をまとめてみました。
・鈴木香弥(すずき かや)
16歳の高校生で、本作の主人公。
ある日、目と爪しか見えない異世界のチカと出会い、特別な存在になろうと目論む。
友だちが全くいない。
・チカ
異世界の住人。カヤとは文化が異なるため、カヤやカヤの世界に興味を持つ。
なお、チカの世界では戦争中のため、サイレンがなると家に戻らないといけない。
・田中
カヤのクラスメイト。アルミという犬を飼っている。
サバサバした性格をしている。
・斎藤
カヤのクラスメイト。田中からはクラスの暗い奴女代表と言われている。
カヤとは出席番号が近いため、下駄箱でどちらか先に着いた方が靴を履き替えるのを、後に着いた方は待つという暗黙のルールがある。
・和泉
カヤの中学三年生時の恋人。
カヤと別れたことで自殺しようとした。
・須能紗苗(すのう さなえ)
カヤの高校時代のクラスメイト。
カヤとは仕事で再会し、恋人関係になる。
ラジオ局で勤務している。
・会沢志穂梨(あいざわ しほり)
カヤの高校時代のクラスメイト。
結婚していまは名字が今井になっている。
紗苗とはちょくちょく連絡を取っている。
・アキ
チカから聞かせてもらった歌をそっくりそのまま歌うバンドのボーカル。
感想(※ネタバレを含んでいます)
本作を読んで、一時の気持ちを持ち続けることの難しさを痛感しました。
大きなイベントに心が揺るがされていたとしても、その気持ちは時間が経過するにつれて忘れていきます。
カヤはその事実を受け入れることができなかったように思います。
カヤはチカのことを大切に想うがあまり、好意を寄せてくれる人を受け入れることができず、愛している「フリ」をし続けていました。
もしこの事実をカヤが素直に受け入れていれば、他人を傷付けることがなかったでしょうし、チカと出会ったときのあの気持ちを忘れていくことに恐怖を抱かなかったと思います。
どんなに濃密な時間を過ごしていても、時間が経過すると共にその時の気持ちは薄れ、その事実があったというパッケージしか思い出せなくなる。
人間というのは良くも悪くも忘れていく生き物です。
だからその時々の気持ちを永久に持ち続けることなんてできない。
それならば、過去に執着するよりも未来に目を向けた方が人は幸せに生きていけるのかもしれません。
そしてカヤは「特別」というよりか「唯一」の存在になろうとする気持ちが強かったのではないかなと思いました。
チカから他の人にも会っていることを告げられると、カヤは激怒しチカを傷付けてしまっていました。このことから恋愛というものはお互いが「唯一」の存在を目指すイベントなんだと勝手に思いました。
ちなみに「特別」と「唯一」のニュアンスは微妙に異なるようです。
皆さんは恋愛をどう捉えるのでしょうか。
まだまだ本作の内容を全て理解しきれていないので、時間をおいてまた読んでみたいなと思いました。
最後に
今回は住野よるさんの『この気持ちもいつか忘れる』の感想記事を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。
本作の主人公はかなり拗らせているので、人によっては主人公にかなりイライラしてしまうかもしれません。
(ちなみに僕もその一人でした。)
でもこういう拗れた主人公がいるからこそ、読者に大切なことを気付かせてくれるのかもしれません。
今回僕はCD付き・先行限定版を買ったので、著者のおすすめのバンドであるTHE BACK HORNさんのCDが付いています。
これを聴きながら小説を読むのも面白いと思います。
(僕はまだCDを聴いていません。)
通常版は2020年10月19日発売とのことなので、CDが無くても良いという方はもう少しお待ちください!
特設サイトがあるので、気になった方はこちらもご覧になってはいかがでしょうか。
以上、住野よるさんの『この気持ちもいつか忘れる』の感想記事でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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