にかどくログ

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殺人事件と爆破事件の関係性とは? ~麻見和史著『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』読了~

にかどくです。

 

今回は『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』を読了したので、こちらの作品の感想を書いていきます。

ちなみに今回感想を書く作品は警視庁殺人分析班シリーズの第3作目です。

水晶の鼓動 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

 

 

著者紹介

本作の著者は麻見和史さんです。

詳細については、以下の記事の「著者紹介」部をご覧ください。

nika-landmark.hatenablog.com

 

概要

殺人現場は、スプレー塗料で赤く染められた寝室だった。

如月塔子が猟奇的な事件の遺留品捜査を始めた矢先、東京各所で連続爆破事件が起きる。

多くの捜査人員がテロ対策に割かれ、殺人事件を担当する塔子ら特捜本部は動揺を隠せない。

殺人犯はどこまで計画していたのか——まさか。

緊迫の骨太捜査ミステリ!

 

麻見和史著『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』

(2014年/講談社/裏表紙より)

 

登場人物

・如月塔子(きさらぎ とうこ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長で、26歳。

低身長で童顔であることから、職場では子ども扱いされる。

物事に根を詰めてしまうタイプで、危なっかしい場面がある。

今回はある事件がトラウマとして蘇ったために、途中で予備班(特捜本部の電話番など)に回されてしまう。

 

・鷹野秀昭(たかの ひであき)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の警部補で主任。32歳。

塔子の教育係でもある。

100円ショップのアイデア商品の収集が趣味。

常にデジカメを持っており、現場や珍しいものを写真に収める記録魔。

 

・早瀬泰之(はやせ やすゆき)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の係長。46歳。

捜査1課長の神谷と管理官の手代木と共に捜査指揮を行う。

胃薬を飲んでいる。

 

・門脇仁志(かどわき ひとし)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の警部補で主任。37歳。

行動力には定評があるが、ときに強引な捜査を進めることがあることから、「ラッセル車」というあだ名がついている。捜査方針を巡って、手代木管理官としばしば衝突する。テレビ番組を調べるのが趣味。

 

・徳重英次(とくしげ えいじ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長。53歳。

温厚な性格で且つ腹部がポッコリ出ているため、七福神の布袋さんのように見える。

インターネットの掲示板にアクセスすることが趣味。

 

・尾留川圭介(びるがわ けいすけ)

警視庁刑事部捜査1課殺人犯捜査11係の巡査部長。30歳。

お話し好きでお調子者。ホームステイをしたことがあるというだけで、帰国子女を自称している。

容姿が良いため女性警察官からは人気がある。

本作では自分に専門分野がないことで悩んでいたが、塔子の言葉によって持っている知識を総動員して捜査に挑む。

 

・神谷太一(かみや たいち)

警視庁刑事部捜査1課長。かつて如月塔子の父である如月功(きさらぎ いさお)とはコンビを組んで事件の捜査をしていた。

 

・手代木行雄(てしろぎ ゆきお)

警視庁刑事部捜査1課の管理官。細かいことを気にする性格で、門脇とは捜査方針で衝突している。

 

・帆足(ほあし)

警視庁公安部の管理官。捜査会議に出席するも公安部が持っている情報を出さなかったため、門脇から「何のために捜査会議に出席しているのか?」と問われる。

 

・上條(かみじょう)

警視庁公安部の捜査員。ある理由から如月と鷹野を尾行する。

 

・木内久司(きうち ひさし)

連続殺人事件の第1の被害者(木場事件の被害者)。43歳独身で学習塾の講師。

死因は頸動脈等を切断されたことによる出血性ショック。

玄関先で遺体となって関根巡査に発見される。

寝室はラッカースプレーで全面赤く塗られていた。

 

・堤宗一(つつみ そういち)

連続殺人事件の第2の被害者(西荻窪事件の被害者)。44歳独身の会社員。

死因は頸部を刺されたことによる出血性ショック。

遺体は門の内側で発見された。

玄関や廊下、風呂場、脱衣所、トイレ以外はラッカースプレーで赤く塗られていた。

 

・永峰隼夫(ながみね はやお)

連続殺人事件の第3の被害者(成増事件の被害者)。39歳独身のプログラマー

捜査中に見つけた堤のノートに永峰の電話番号が記されていたため、塔子と鷹野は事件当日に事情聴取を永峰の自宅で行う予定だった。

2人が自宅に到着した時には既に事件が起きており、病院に搬送されるも死亡。

 

・関根(せきね)

警視庁深川警察署の地域課に所属している交番勤務の23歳の新米警察官。

階級は巡査。

木場事件では通報を受けて現場に一番乗りし、木内宅で木内久司の遺体を発見した。

 

・間宮洋平(まみや ようへい

間宮建築設計事務所の社長で建築家。故人。

爆破事件では塔子の調べによって間宮が設計した建物が破壊されていたことが明らかとなる。

 

・藤崎輝明(ふじさき てるあき)

間宮洋平の甥で、間宮建築設計事務所閉鎖後はインテリアデザインの仕事をしている。

年齢は40代前半。

 

・長谷部

堤の知人だが、堤から警戒されていたことが堤の親族によって明らかとなる。

現在は行方不明。

 

・天城

裏社会に生きるエージェントで、行方不明。

 

感想(※ネタバレ含みます。)

今回はミスリードさせられるということはありませんでしたが、まさか殺人事件と爆破事件に関係性があるとは思いませんでした。

 

殺人事件の現場では遺体が人目の付く場所に放置されていたり、部屋はスプレーで真っ赤に塗られていたりしていました。そして現場には灰色のレインコートが残されており、ピッキングされた跡や家の中を物色した形跡もありました。

 

犯人は物盗り目的でピッキングを行って家に侵入し、被害者に見つかったところを殺害したのか。

そうするとレインコートの説明や部屋が真っ赤に塗られていた理由がはっきりしなくなります。

 

では殺人目的で家にピッキングを行って侵入して被害者を殺害したのか。

しかしそうすると遺体を人目に付く場所に放置した理由がはっきりしなくなります。

 

とにかく今回の犯人は不可解な行動を取っていましたが、この行動にはきちんと理由があったのです。

その理由とは、一言で言ってしまえば交換犯罪の契約を犯人がしていたからです。

犯人はある目的を達成したかったのですが、目的を達成するための知識がありませんでした。

あったのは窃盗の技術や殺人の技術だけでした。

そんな中、ある組織が犯人の実力を買い、木内、堤、永峰の殺害を依頼したのです。

その組織とは窃盗や殺人、人身売買といった犯罪行為を行っている組織でした。

爆発物についての知識もあったことから、犯人は自身の目的が木内、堤、永峰の3人を殺害することで達成できることを認識し、3人の殺害を実行したのでした。

さらには依頼主である犯罪組織の情報が漏れないようにするために、部屋を真っ赤に染めたのでした。

 

さて、犯人が遺体を人目に付く場所に放置した理由ですが、警察の捜査をスタートさせるためです。

警察が捜査を開始すれば、必ずマスコミが動きます。

マスコミが動けば殺人事件が起きた事実やその被害者が生きているのか、それとも亡くなっているかをニュースで報じます。

つまり、ターゲットが死亡したかどうかを犯罪組織はマスコミの報道で確認していたのです。

犯罪組織がターゲットの殺害を確認したら、犯人が望む爆破事件を起こすというカラクリが殺人事件・爆破事件では出来上がっていたのです。

 

さてここでこんな声が聞こえてきそうな気がします。

「犯人が部屋を真っ赤に塗る理由なんてなかったのではないか」、「情報漏洩を防ぎたいのであれば、家を燃やしてしまえば良いじゃないか」という声です。

確かにその通りです。

僕が本作の犯人だったなら、手っ取り早く済ませたいので被害者の家を燃やすという選択をします。

しかしそうすると、犯人に不都合が生じてしまいます。

被害者の家を燃やしてしまうと遺体までもが燃えてしまい、身元確認に時間がかかる可能性があるのです。そうなると犯罪組織がターゲットの死亡を即座に確認できないばかりか、犯人の望む爆破事件も起こしてもらえません。

だったらいっそのこと「部屋を赤く塗りつぶしてしまえ!」となるかと言えば、普通に考えれば微妙な所です。

もう少し犯罪組織に繋がる証拠隠滅方法がありそうですが、犯人にはそうせざるを得ない理由がきちんとありました。

 

犯人がそのような行動を取らざるを得なかった理由。

それは文字を理解することができないという大きなハンディキャップを持っていたからです。

被害者の部屋にはごみ収集の日や家賃の支払い日などがホワイトボードやカレンダーに書かれていました。

しかし犯人にはそれが犯罪組織に繋がるものなのかどうか理解ができなかったのです。情報を取捨選択できない以上、犯人は「疑わしいものは他の人が判別できないようにしてしまえ」という判断を下し部屋を真っ赤に塗りつぶすという行動に出たのでしょう。つまり犯人には猟奇的殺人を演出するつもりなど無かったのです。

この大きなハンディキャップを犯人が持っていることを知るアイテムが、事件現場に残された灰色のレインコートです。

木場事件、西荻窪事件では中国製だったのに、成増事件ではベトナム製のレインコートが残されていました。

真相を知る前は犯人はどこで製造されたのかはそんなに関係がないものだとばかり思っていましたが、真相を知った際には「そういう理由があったから、成増事件ではベトナム製のレインコートが残されていたのか」と納得してしまいました。

そしてそれに気付いた鷹野は本当に優秀な警察官なんだなと感心しましたし、大失態を犯して雑務に回されても、一般市民のために全力を注ぐ塔子がとても逞しく見えました。

作品を追うごとに塔子の捜査一課の刑事としての魅力が増しているような気がします。

いつかは鷹野と肩を並べられる刑事になっていると良いなと思いました。

 

犯人が建物を爆破したかった理由をまだ明かしていませんが、これは皆さんの目で確認していただきたいと思いますので、ネタバレと感想はここまでにしておきます。

最後にはドキドキハラハラな展開が待っているので、一気読み間違いなしの作品です!

 

最後に

今回は麻見和史さんの『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』の感想記事を書いていきましたが、いかがだったでしょうか。

本作は女優の木村文乃さんが主演でドラマ化第2弾としてWOWOWで放送されていました。

未だに映像作品は観たことがないのですが、本作はかなり動きがあるので面白そうな気がします。

(ここでは門脇が出てこず、石倉という刑事が捜査1課11係に加入しているようです。)

 

ドラマ化第2弾『水晶の鼓動』☟

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そして本作は1作目の『石の繭 警視庁殺人分析班』のある事件について少しだけ触れているのが良かったです。1作目から読み始めた僕としては過去の作品が触れられているのは嬉しいです。

 

ちなみに「警視庁殺人分析班」シリーズはどの作品から読み始めても楽しめます。

「石の繭」から読むも良し、「水晶の鼓動」から読むも良しです。

 

ミステリ小説を読んでみたい方は、この警視庁殺人分析班シリーズを読んでみてはいかがでしょうか。

 

以上、麻見和史さんの『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』の感想記事でした。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

☆宜しければ、記事に対する感想をコメントしていただけると幸いです☆

 

水晶の鼓動 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

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  • 作者:麻見 和史
  • 発売日: 2014/05/15
  • メディア: 文庫
 

 

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『石の繭 警視庁殺人分析班』の感想記事はコチラです☟

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『蟻の階段 警視庁殺人分析班』の感想記事はコチラです☟

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